辺り一面緑で、わしゃわしゃとセミがアタシ達に語りかけるように鳴いている。
だらだらと汗が伝っている。汗が肌にべたりとついて気持ち悪い。
太宰と離れないようにぎゅ、と指を握り、どこか泊めてくれるような家を探す。
居なかったら、今日は野宿だな。コンビニで買った弁当もあるし、まだ時間はある。
そうだ、海へいこう。忘れていた、ここにきた理由は海がきれいだったからだ。
「太宰。海へいこう。」
そうアタシがいうと太宰は
「いいけど、替えの服、もってきてない。」
相変わらず太宰は馬鹿だ。
「大丈夫、なんとかするからさ。ほら、」
強引にアタシは太宰の手首を引っ張り、海へといく。
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つかれた、やっとついた。
辺り一面キラキラしていて、まるで今の状況を全て消し去るようなほど、うつくしい海だった。
太宰はアタシから離れ、少しづつ、少しづつ海へと引きづり込まれるかのように歩く。
そんな太宰を見て不安になったのか、アタシは太宰のあとをついていく。
太宰がぽつり。
「つめたいね。私、海、きたことないからさ。こんなつめたくて、きらきらしてて、うつくしいだなんて、しらなかった。 」
そう思えばアタシも、海には一度も行ったことがなかったな。
「嗚呼、そうだな。きれいだな。」
太宰は水を手でとって、アタシにばしゃり掛けてきた。
太宰がクスッ、と笑う。
頭に血が上ってきたのか、ただアタシが短気なだけなのか、ムカついてきて仕返しとして太宰に水を掛ける。
太宰もアタシに水をかけてくる。
つまらない、けど、たのしい。そんな時間をアタシ達は過ごした。
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