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「 木洩れ日の奥で 」

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「 木洩れ日の奥で 」

7 - #6.「 祈るような夜 」

♥

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2025年08月15日

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「 木洩れ日の奥で 」


もりょき



「 涼ちゃん……ごめん、ちょっと……気持ち悪い… 」


帰り道、元貴がふらりと足を止めた。

顔色がどんどん悪くなっていく。唇も乾いて、体が小刻みに震えていた。


「 ちょ、元貴、大丈夫!? 」


涼架が慌てて駆け寄り その背中を支える。


「 や、やだ……涼ちゃんの服……汚しちゃうから… 」


「 そんなの、気にしないで!立てる?無理しなくていいから 」


その瞬間、元貴の口からかすかに嗚咽が漏れ 体が崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。


「 あ、う……っ、ぅ……! 」


道端に膝をつき、何度も何度も吐いていた。

苦しそうに 喉を震わせながら、涙と唾液と、熱と痛みにまみれて。


「 元貴、……ごめん、ごめんね……もっと早く気づいてあげられなくて……! 」


涼架は震える手で元貴の背中をさすり続けた。

その手がどれだけ震えていようと、必死で。


「 っ……寒い…… 」


小さな声が漏れた瞬間、涼架は自分の上着を脱ぎ、元貴の肩にかけた。


「 もう少しで救急車来る……だから、頑張って、元貴……っ! 」


握っていた手が冷たくなっていた。

唇も、白く乾いていた。

けれど、それでも──


「 ……涼ちゃん……いる……? 」


「 ああ、いる。そばにいるよ、元貴 」


「 ……よかった…… 」


か細く微笑んで、元貴はゆっくりと目を閉じた。



病院のベッドの上。

点滴の針が刺さったままの腕は、細く 透けるように白かった。


「 なんで……こんなになるまで我慢してるんだよ……バカ… 」


涼架の目に涙が浮かぶ。


「 熱……39℃超えてたって……水もろくに飲んでなかったって……っ 」


「 ───涼ちゃん、泣いてるの……? 」


ふいに、小さな声がベッドから返ってくる。


「 うっ……!バカ、起きてんじゃねぇよ…… 」


「 ふふ……だって、涼ちゃんが泣いてたら、僕も泣きたくなっちゃうじゃん…… 」


「 じゃあ泣いてよ。今は、泣いていいときだよ 」


「 ……涼ちゃん、ずるい 」


「 元貴がずるいんだよ。僕に心配ばっかさせてさ……でも 」


涼架は、そっとその手を握る。


「 それでも、元貴が生きててよかった。ほんとによかった 」


小さくうなずいて、元貴は涼架の手を握り返した。


「 ……また、涼ちゃんの夜空……見たいな 」


「 俺が見せてやるよ。何回でも 」


ふたりの手の温度が、静かな夜の病室をあたためていた。_____


#6.「 祈るような夜 」



ひゃぁ……。どうなっていくんですかね悩

難しいです…


「 木洩れ日の奥で 」

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