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いろは @ 低 浮
7
2,019
──────メテヲさん視点──────
天使と悪魔の種族長との会談を終えた。数時間以上に及ぶその会議は一区切りついたところで終わったため、終了した、とは言えない。まだこの会議は続きそうだ。けど、それは問題じゃない。今、いちばん重大なのはぐさおが神界へと訪れること。普通に考えれば、いや、考えなくてもおかしいのだ。もう親がいないまだ子供のぐさおをたった1人だけを神界に招くなんて。そんなことを考えながら、ぐさおと合流する。明るい桃色のショートカットヘアが振り向くことでふわりと花のように舞う。服は白を基調とした花柄のワンピースでぐさおの可憐さと愛おしさを1層高めていた。その、ガラスのように透き通った目がメテヲの存在を認め、にこりと笑いながら手を振ってくれる。
「あ!メテ兄!準備できたの?」
「うん。もう大丈夫。じゃ、行こっか。」
そういいながら手を差し出せば、ぐさおはその手を快く受け取ってくれ、そのままメテヲがエスコートする。今メテヲ達がいる天界から神界に行くためにはイヴィジェル家と神しか使えない呪文を魔法によって作った扉の前で唱えなければならない。が、そんな厳重な扉を開けるのも、メテヲにとってはなんの支障もなくできてしまうものだ。メテヲはサクッとその儀式を行い、神界への扉を開く。
この、扉の向こうに。神が何千体といるのだ。そう思うと足が重く感じられる。あの話を聞いたあとなら誰でもそうなるだろう。けど、今更引くに引けない。自身の危険なんかよりもぐさおの方が不安だ。メテヲが、初代最高神の味方である限り、メテヲが死ぬことは無い。だが、ぐさおはまだその話を知らず、無知の時に現最高神側についてしまったら───どんな悲惨な結末を迎えるかは想像できない。守らないと。家族として、兄として、そう、決意を再度固めて、足取りの軽いぐさおを追いかけ、その扉の向こう側───神界へと足を踏み込んだ。
その空間はいつ来ても目を奪われる美しさだった。神界は、そのものがいちばん美しいと思う光景が映し出されるらしい。つまり、この美しい情景を他者と共有することはできない。自分だけの、自分専用の光景。その、あまりにも美しく、神々しいこの世界に酔いしれていれば、ぐさおはさっさと神殿へと向かってしまう。メテヲは慌ててぐさおを追いかける。
「見てみて!メテ兄!この神器、とっても綺麗じゃない?」
「そうだね〜。あ、触っちゃダメだからな?」
「わかってるよー!もう!私もそろそろ大人だよ?子供扱いしないでよねー!」
「いつまで経っても、メテヲにとって妹だよ。…だから、さ。話してよ、正直に。」
メテヲがそういいながら、ゆっくりと手を差しのべる。彼女は勇み足で進んでいた足を止め、ゆっくりと振り返り、メテヲの目を覗き込む。
「ん〜?なんの事、メテ兄。ほら、そんなことよりも、さぁ。はやく行こ?」
その”ぐさお”の目が美しく輝いた。まるで、吸い込まれるかのような───。頭がふわっとする。さっき考えてたことがふわふわとぼやけていき、輪郭を失う。
「…うん、そうだね。はやくいこっか。」
メテヲは止めていた足を前に出し、ぐさおについて行く。頭がぽわぽわとして、なんだか、足取りが軽くなった気がする。さっきまで考えていた難しいことなんてなかったようなものだ。何も考えずに、ぐさおについて行く。───現最高神が存在する、空間へ。
「…ようこそ。最高神の間へ。歓迎するわ。新当主のメテヲ、そしてぐさお。」
「お久しぶりです!最高神様ー!ぐさお・イヴィジェル、ただいま参りました!」
「うん、よく来てくれたよ。…本当にね。」
その神の意味深な言葉にメテヲの意識は急速に覚醒する。───最高神の影が伸びているのだ。ぐさおの方へと。嫌な予感がして、メテヲは慌ててぐさおを突き飛ばす。
「きゃっ!」
「ァッ!?」
ぐさおの短い悲鳴とともに尻もちをついた音が神殿に響く。それと同時に、メテヲの体が伸びた影が実態を持ち、絡まる。メテヲは自分の能力である時空操作を使い、その影がある空間をカットする。パキッと音を立ててその空間が音をたてて壊れ、メテヲの拘束が取れる。メテヲはジロリと最高神を睨みつける。
「…いきなり拘束しようなんて、どういうおつもりですか?最高神…っ!!」
「…神には様付けしなさい。イヴィジェル家の当主というのはつまり、私の直属の部下なのだから。」
「妹に手荒な真似をしようとしたやつを敬う気にはなれないけどねぇ…!」
メテヲはそういいながら槍を創り出す。守らなければ。自身の妹を。やはり、この神は危険なのだ。表面上は自身の部下であるぐさおに簡単に手を出しやがった。ひとりで行かせなくてよかった、と心底思う。メテヲはぐさおと最高神の間に割って入るように槍を構えた。───だから、油断してしまったんだと思う。メテヲの片方の足が地面に沈んだ。
「!?」
地面に、足が沈む?宝石でできているかのようにキラキラの輝きを放っており、硬度も充分ありそうだった。少なくとも、沼のようにメテヲの足が沈み、身動きができない、なんてことはおかしい。足がもつれ、平衡感覚が崩れ、そのまま倒れ込む。地面に手をつくと、その手もまた、沈んでいく。能力を発動させようとするが、頭がぼんやりとして、発動できない。沈んでいく身体を、ただ見守ることしか出来ない。
「メテヲの頭に…何…した、の?」
ぼんやりした頭ではまともな思考が組み立てれない。意味のない質問を尋ねれば、案外最高神は丁寧に答えてくれる。
「…記憶操作、じゃなかったかな。そうだよね?ダーク」
「…ぁあ、思い出した。そういえば、ぐさおじゃなかったね。」
「…びっくりしたよ。何回記憶操作しても、私をぐさおじゃない、と言い出すから。ま、短い間に何回も記憶操作されたせいで頭がぼんやりしちゃったみたいだけど。まあ、捕獲が上手くいったし結果オーライだ。」
「…メテヲは、ダークの…ことも、妹…だと、思って…たけどなぁ……。」
メテヲがそうぽつりと呟きながら、体全体が沈みこんでいく。もはや、抵抗などは考えない。ダークも、最高神も敵である中、能力がまともに使えない、頭が働かないこんなメテヲじゃ逃げることもままならない。と、言うよりここからの打開策が見つからない。深く思考しようとすると霧がかかったように上手くいかない。メテヲは一体、何回以上記憶操作を食らったのだろうか。…いや、きっとここに来るまで何回も、何回もぐさおじゃないって気づいて、その度になかったことにされたのだろう。無駄な、事だ。
あれ、これ、もしかして───。
失いかけたまともな思考がひっそりと姿を表す。
───初代最高神との契約、破ってしまっているのでは?
ここで切ります!久しぶりに書けました!時間がある時はちょくちょく書きますね!お知らせを見ていない方もいると思うので、一応こちらでもお知らせを!過去編全員書くのをやめようと思います。時間がないのと、モチベが…って感じですね。てことで、メテヲ編が完結したあと、皆様がコメントで書いて欲しい方を教えていただき、その人たちの過去編は物語として書き、コメントで言われなかった方は情報だけ開示の予定です!また、この物語の3次創作は私に教えていただければ全然書いてください!むしろ歓迎してます!
それでは!皆様のコメント、お待ちしてます!おつはる!
コメント
4件
と言うかまず メテヲ編がいつ終わるかだね 長引く予感がするけど