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離婚します 第二部

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離婚します 第二部

50 - 第50話 綾菜の場合最終話

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2024年11月05日

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「あらためまして、出戻りました綾菜です。翔太と一緒にお世話になります」

「はいはい、よろしくね」

「賑やかになるな」


「あの、ちゃんと仕事して、家賃や光熱費は払うから」

「軌道に乗るまではいいよ」

「もうすぐ翔太も保育園に入れることになったし、頑張るから、そしたらね」

「わかった、ちゃんともらうよ」


ここは不思議な家だと思った。

離婚した両親と出戻りの子持ちの娘。

でも、お義父さんもお母さんも、それぞれ自立して生活してるし、私もできるだけ甘えないで生活したい。


仕事も少しずつ増やして、いつかはレセプタントのエキスパートになる、それが今の夢。





それから1か月後。

健二が養育費を持ってきた。


「久しぶり、元気そうだね?」

「うん、私は元気よ、翔太も元気。ね、翔太?」

「さて、じゃあ行こうか?」

「うん、行ってらっしゃい」

「あ、あのさ、綾菜も行こうよ」

「え?あの子に悪いでしょ?」

「いや、いいんだ、もういないから」

「え?」

「結婚は無理だって、二週間もしないうちに出て行ったよ」


あははとひきつった笑い方。


「ぷっ!あんなに健二と結婚したがってたのに?」

「うん、いざ結婚になったらダメだった、情けないよな」


「おとうちゃん、はやくいこ、どうぶつえん」

「お、行くぞ、おかあちゃんも誘ってるんだけどな」

「え?おかあちゃんもいけるの?」

「ん?…」

「離婚してても一緒に出かけていいだろ?行こう、翔太もその方がいいよ」

「わかった、ちょっと着替えてくる」


変なの、変なの、変なの。

離婚して、子どもに会いにきた元夫と3人で出かけるなんて。


「さぁ、行こうか?」

「わぁーいわぁーい、おとうちゃんとおかあちゃんとどうぶつえんだ、わーい」


真ん中で翔太が、私と健二の腕に捕まって飛び跳ねている。

本当にうれしそうだ。


どこから見ても離婚した元夫婦には見えないだろうな。

それにしても。


「ね、新しい彼女は?」

「あー、当分見つからなそう」

「今なら自由なのにね」

「なんかね、離婚したとたん、モテなくなっちゃったよ、なんでだろうね」

「知らんわ」


たくさんの家族連れで賑わう動物園。

みんな幸せそうに見えるけど、本当に幸せな家族はどれくらいいるのかと思う。

私たちは、なんでこうなってしまったのかわからないけど。


ぴろろろろろろろ🎶

私のスマホが鳴った。


「はい、そうです。え、次の日曜日ですか?えっと、すみません、ちょっと待ってください」


スマホを保留にして健二に聞く。


「あのさぁ、次の日曜日の午後、翔太を見てくれない?何か用事ある?」

「いや、ないよ、仕事?」

「うん、そう、来れなくなった人がいてピンチヒッターなんだけど」

「いいよ、ちゃんと予定しておくから」

「ありがとう」


「あ、お待たせしました、はい、大丈夫です。よろしくお願いします」



なんのわだかまりもなく、健二に翔太のことをお願いした自分に驚いた。

これじゃ、離婚した意味ないじゃん?なんて思った。


「今日が楽しいからいいか!」


思わず声に出た。


「え?何のこと?」

「ううん、なんでもない」


こんな家族もあり!としとこう。


これが私の家族なんだから。


離婚してるけど…ね。





ーーーおしまいーーー












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