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今日は元貴も涼ちゃんもいない中一人TV局で仕事をした。
たまにあるけど、やっぱり一人はどことなく心許ない。
そんなこと思いつつも恙無く終わり、帰るためにマネージャーとエレベーターに乗ろうとした時だった。
「待って、俺も乗る。」
振り返ると、少し離れたところからスタッフ数名と二宮さんがこちらへと歩いて来ていた。
「お疲れ様です。」
マネージャーと一緒に横に避ける。
「ありがと、岩井。」
「いや、俺若井です!」
二宮さんだけエレベーターに乗り込む。残りはTV局スタッフだったようだ。
俺とマネージャーが乗り込んでエレベーターが閉まるまで、スタッフはぺこぺこと二宮さんに挨拶をしていた。改めてすごい人なんだなと思った。
「改めてすごい人なんだなって思ってくれたりした?」
「人の思考読まないでもらえますか?」
「それ、この前元貴が買ったやつ?」
今日俺はこの前元貴がくれたブレスレットを付けていた。
そういえば二宮さんと買い物行った時に、二宮さんそっちのけで俺と涼ちゃんへのプレゼント買ったとか言ってたな。
「愛されちゃってすみません。」
ブレスレットを見せて言ってみた。二宮さんは苦笑して
「予想以上だね。俺。岩井君にも負けたんだ?」
「若井です。本丸は俺以上に手ごわいですよ。なんせ、お互い無自覚ですから。」
「だろうね。教えないの?」
「数曲作ったら教えるかもしれませんね。元貴、私生活と曲作りがリンクするタイプなんで。」
「かわいそうに。馬車馬のごとく働かされてるわけね。」
「馬車馬は俺たちですよ。無茶苦茶無理難題押し付けて、俺と藤澤は毎回HPMPともにゼロ状態です。」
「流石ゲーマー。例え分かりやすい。じゃぁさ、ルーラ的な直通ルートないの?」
「ないっすね。可能性があるとすれば藤澤が死ぬとか。」
マネージャーがギョッとしてこっちを見るから、「ゲームの話し」と注釈しておいた。
ゲームはゲームでも恋愛ゲームだけど。
「あー、そういうのは苦手なんだよね。」
「なら後はもう地道に課金(貢ぐ)しかないんじゃないんですか?」
「何か欲しいアイテム聞いてる?」
「〇〇のギター(クッソ高いやつ)」
「それ君が欲しいものでしょ。」
「ばれました?(テヘ)」
「買ってあげるからおじさんに協力しない?」
「こっわ。すみません、無理っす。」
流石にギターのために仲間を売ることはできない。
二宮さんもそれはわかっているらしく、ため息交じりに頷いた。
「でしょうね。そういうのじゃなびかないじゃん君たち。」
地下駐車場に着いた。今日は少し遠くに車をとめていたため、マネージャーが車を取りに行った。
「二宮さんは車ですか?」
「岩井君とお話ししたかったから付いてきた。本当はタクシー。」
「若井です。特に献上できそうな元貴の話しないですよ?」
「そうだね。まぁ、今はそれでいいかな。」
こっわ。なにこの人怖い。
「俺怖くないよ?」
「いや、人の思考読む時点で怖いっすよ!」
「今度みんなで食事でもしようよ、岩井君。」
「若井です。いいんですか?俺が行っても。」
「藤澤君も呼んでね。その方が元貴も喜ぶし。」
「俺らにはいつも「ニノさんと食事した」とか嬉しそうにマウント取ってきますけど。」
「あいつが俺とか中島ケンティーとかその他諸々と食事や出かけたりする理由知ってる?」
「え?単にあいつが二宮さんや中島さん好きで一緒にいて楽しいからじゃないですか?」
二宮さんは大きくため息をついた。
「岩本君…。」
「もはや誰っすか。」
「元貴はさみしがり屋じゃん?」
「はぁ。それはまぁ知ってますけど。」
「自分の居場所は君と藤澤君の間っていうのを確認したいがために俺とか他のやつと出かけてんのよ。」
「は?」
「面倒臭いけど、そういうとこ可愛いよね。」
その時、マネージャーが車に乗ってやってきた。
「じゃ、元貴によろしく。若井君。」
二宮さんはエレベーターに乗って上がっていった。
「最後は名前間違えないんかい。」