見ててください

疲れて帰って来た。匂いが薄くなっている。渡辺は寂しくなって目黒の家に向かった。

目黒はまだ帰っていない。

着替えて、シーツの中に潜り込む。

目黒が帰って来た。

渡辺が来てる。今日は自分の家に帰ると言われていた。

寝室に行くと、泣いた痕の顔で眠っている。

そっと頭を撫でる。モゾモゾ動く。

目黒ー翔太くん？翔太？

渡辺ー・・匂いが薄くなってきた。

目黒ー仕方ないよ。

渡辺ー寂しくなって・・。

目黒ーおいで。

ベッドの淵に座ってた、目黒に飛びついて行く。

渡辺がそのまま後ろに倒れる。

目黒は渡辺に覆い被さる。

目黒ーやっぱり翔太くんが、誘うじゃん。

渡辺ーばか。

目黒ー少しずつ寂しいの、忘れて？

渡辺ー忘れさせて？

目黒ーほら、煽る（笑）

渡辺ーうるさい。

渡辺ーんっ・・んっ・・。

目黒ー今日だけ、いっぱい泣いて、明日から笑おう？

渡辺ーんっんっ・・抱きしめて・・。

目黒ー抱き潰す。

渡辺ーいい・・抱いて・・。

目黒ー翔太・・愛してる・・。

渡辺ーんっ・・んっ・・もっと言って？

目黒ー愛してる・・翔太・・愛してる・・。

渡辺ー俺、幸せだから・・。

目黒ー泣いていいよ？

渡辺ーうっ・・んっ・・あぁ・・んっ。

悲しすぎて泣き方が分からない。

涙をポロポロこぼしながら、目黒に抱きついてくる。

目黒ー幸せにしなくちゃ、叱られる。

渡辺ーだいじょぶ・・幸せだから・・。

目黒ー翔太くん。

渡辺ー蓮・・れ・・ん・・。

穏やかな顔で眠る渡辺。

目黒は、渡辺には言えないが、密かに喜んでいる。

もう、あの海に行くことはない。渡辺を連れて行くことはなくなった。抱きしめて眠ろう。

目黒ー大事な大事な、俺の翔太。

完