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つい見とれている私の手に、アラスターの手がそっと触れる。
アラスター「大丈夫ですよ、かなり楽になりましたから・・・」
アラスター「ですから、そんな泣きそうな顔はおよしなさい」
アラスター「それより・・・・・・」
ふと、優しい指先が私の顔にかかる髪を除け、頬をなぞる。
そっと触れられたそこがぴりぴりと痛み、そういえば頬に傷を負っていたことを思い出した。
アラスター「―――すみません」
〇〇「え・・・・・・?」
小さな声で零れた謝罪の言葉に、思わず言葉を失う。
アラスター「先程の戦闘です。傷をつけさせるつもりはありませんでしたが・・・」
アラスター「私の力が、少々及びませんでしたか」
そう言いながら、アラスターは私の頬の傷を切なげな瞳で見つめる。
彼らしくない、滅多にないほど弱気で後ろ向きな発言だった。
“そんなことはない”と、私はすぐさま首を横に振った。
〇〇「守ってもらった・・・・・・たくさん救ってもらったよ、アラスター」
昔の私ならきっと、自分の過去とトラウマに支配されて今頃は雁字搦めになっていただろう。
しかし今こうして、ヴォックスと・・・ヴィンセントと真正面から向き合い、戦い・・・
過去のしがらみを越えて、ここに立っている。
〇〇「こうして今、無事にここにいられるのも・・・過去に逃げずに向き合えたのも・・・」
〇〇「ホテルのみんなの、何よりアラスターがいてくれたおかげなんだよ」
ばつが悪そうな顔をするアラスターの手を、そっと握る。
〇〇「私、貴方のことをたくさん傷つけてしまったのに・・・」
〇〇「それでも、助けに来てくれた。私を・・・信じてくれた」
〇〇「私にとって、こんなに幸せな事はないの」
全てを吹っ切った私は、本音を口にしながらようやく自然に笑うことができた。