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プナールは高校卒業と前後して、三回目の結婚をした母親の家を追い出されていた。旧市街にある公園でたむろする友達の家を転々としたが、どこにも長くいることはできなかった。今はネズミの出る学生寮の狭い部屋に住んでいる。学費は借入れの奨学金で払っている。週末の夜は旧市街の酒場で働いている他、いくつかバイトをしながら、生活費の足りない部分を作っている。結果、学校は休みがちになり、進級も難しい状況となっている。何をやってもうまくいかない、自分はなんて不幸な少女なのだろうと言う。
「こんなこと、クタイ君に言ったってしょうがないのにね」
月明かりはプナールの青い唇を一層青く色づけしている。
「私にはあなたと違って温かい家庭はないし、大学でゆっくり勉強できる環境もないのよ。ちょっとクタイ君が憎らしい」