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俺はアップルティを口にした。甘みより酸味の方がやや強かった。

「昔、城壁乗り越える話したの、覚えてるかい」

プナールの薄い唇が、横に動いた。

「あの頃、かなり不思議な話してたよね。壁が見えるとか見えないとか、向こう側がどうでこっち側がどうとか。途中でレンガが砕けて危なかったとかどうしたとか」彼女の口元はいくぶん柔らかくなった「しまいにはケマルと友達だとか言い出したりして。そんなの絶対信じなかったけど。聞いててとりあえず暇つぶしにはなったよ」

「当時壁の向こう側にあった学校の先生は、俺に聞いたもんだよ。『君が今不幸なのは、周りが悪いからだ。そう思っているんだね』って。だから、はいそうですって答えてた」

庭先の不ぞろいに刈られた芝から、水鉄砲の銃頭が、おそらくは子供の頃遊んだままの場所に顔を出している。塀の傍にある水道の蛇口には、ひびの入ったゴムホースがぐるぐる巻きになっている。プラスチック製のじょうろが横転している。

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