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上司「若井、これも今日中に終わらせて。」
若井「……はい。」
最近残業ばっかだ、日付が変わるまでパソコンと
にらめっこ。外は当然暗いし、社内は自分のパソコンだけが光ってる。身体も心ももうボロボロだ、、
倒れ込みたい、ベットで寝たい、お腹いっぱいご飯を食べたい、誰かに助けを求めたい、
でも何処にもない。助けも、身体と心を癒すとこも
ない、孤独だ。
このまま死んだ方がましなんじゃないか、笑
誰も困らないだろ、一人なんだし。いつも薬を飲んで乗り越えてきた。1回にどれぐらい飲んだのかもわからない、でも少し気が楽になる、
あぁ、このまま死んでしまいたい、。
歩くのがやっとだ。ふらふら歩いてやっと家に
ついた。玄関を開けて靴を脱ぐ。その時に座ったらもうおしまいだ、玄関で朝を迎えてしまう。
さすがにベットに行きたい。
ベットまで頑張って歩いていく。その時、
リビングが明るいことに気付く。
若井(なんだ…まだ起きてたんだ、)
リビングの扉を開けると、コーヒーを飲みながら
ソファーで少しうとうとしてる元貴がいた。
元貴が俺の存在に気付いた時、少し小走りで
近寄ってきた。
元貴「おかえり。」
元貴はそれだけ言ってすっ、とハグをしてくれた。
でも俺は疲れた。座りたい、寝たい。
それしか考えてなかったため、元貴に少し冷たくあたってしまった。
若井「ごめん、疲れてるから。」
そう言い、グイッと少し離れようとしても
元貴は力を緩めるどころか、もっと強くハグ
してきた。
元貴「知ってた?ハグとかキスするだけで、
ストレス軽減するらしいよ。科学でも 判明
してるんだって。」
若井「だから?」
元貴「今の若井には、必要なんじゃないかな、」
そう言い、元貴が上を向いて頬に手をのばした。
頬に感じる温もり、一人の人間の体温、唇に優しく触れる感触。
それだけで今まで心の奥深くに眠っていた、
絡まっていた糸がどんどん解れていく。
それだけで身体が何故かふわっと軽くなった。
なにもしていない。薬も飲んでない、お酒も入ってない、ただ、元貴と触れ合っただけで、どんどん固まっていたなにかが崩れていく。
仕事、睡眠、人間関係、上司、自分の心の中に
閉まって見て見ぬふりをしてきた。
誰にも気付かれぬよう、自分は辛くない、
まだいける、まだがんばれる、そう思い込んで。
自分のことは後回し、誰かの助けだけを聞いて、
自分の身体と心の助けは聞かなかった。
いや、聞けなかった。自分が我慢すれば、なんでもまるく収まる。だから、、俺は…誰にも助けを求められなかった。自分自身の助けを、一番大切な助けを拾ってあげることが出来なかった。
でも…そんな俺の助けを聞いてけれる人がいた。
いつでもそばにいると言ってくれた人、
どこでも助けてくれた人、俺のことを一番に考えてくれる人。なんで忘れてたんだろ、
すぐそばにいるじゃん。倒れ込める場所。
元貴「僕がいつでも若井の支えになってあげる
ってこと、忘れないでね、」
この夜、俺は思い出した。
癒しって、薬や休暇とかじゃなくて、俺のことを
大切にしてくれるたった一人の手の中にあると。
そして、その人がくれる温もりは世界で一番確かな
「生きててよかった、これからも頑張る」
と思える理由だった。
若井「ありがと、元貴…」
若井「気付かせてくれて、。」