──────いえもん視点──────
「──────は…え…ぇ……?」
ビビさんが目を見開き、口がぽかんと開く。俺もほぼ同じ状況だった。何故ならば、今まであってきた人外…と言っても、めめ村の村民達だけだが、その人達からは人間を直接食べた、なんて見たことや、聞いたことすらなかったのだ。
俺の体は驚きで硬直し、しかし、思考のみがぐるぐると回転する。何を言ったらいいのか分からない。それと同時にその人に対して、寒気と恐怖を覚える。
「え〜?めっちゃいい反応するじゃん!え?もしかして信じてたの?獣人を?」
ぜんさんは目をキラキラと輝かせてビビさんに1歩、2歩と詰め寄る。そして、キラキラと輝く瞳はどす黒い輝きを帯びている。ビビさんの顔は真っ青で、首を横に振りながら後ずさる。
「ぜんさんそこまでにしてあげて〜怖がっちゃってるじゃん?一応依頼人なんだから丁重に扱わないといけないの〜」
見かねたメテヲさんがストップを入れる。と、言っても人情とかではなく、仕事だから、という理由には人外らしさを感じた。
「はーいしょーがないなー今回は見逃してあげる〜」
ぜんさんは少し不機嫌そうな顔をした後、ビビさんに向かっていたずらっ子のように笑う。
あ、そうだ。とぜんさんは何かを思い出したかのように言う。
「せっかくならぽれの能力教えて上げるよ♪仲間を食べちゃったお詫びってことで〜!」
ぜんさんはビビさんの方に振り向いて自信ありげにそういう。その程度のことで仲間を食べたものへの劣等感や憎悪は減ることは無いと思う。言わないけど。
「ぽれはね、結構特殊でね〜?食べた分だけ強くなれるんだ〜正確に言うなら、食べた人のこと全て分かっちゃう!」
そう言い終わったあと、ぜんさんはくるりと一回転を決める。そうすれば小柄で雪のような透明感のある白い髪に人外と言わんばかりの長い耳、そして黄緑色の瞳をのぞかせる。
「これがあたしの特徴☆!食べた人の事ならなんでも簡単に覚えられちゃうし、名前、性別、記憶、性格、姿形までどーんなことでも真似られちゃう☆!すごいでしょ〜?」
「──────…ッ!!その姿は…ッ!!!」
ビビさんは驚いたかのような、しかし、怒りをあらわにする。ぜんさんを憎々しげに見つめ、殺意をみなぎらせる。それに対してぜんさんは子供を相手にするがごとく、優しい声音で、しかし残酷なことを言う。
「そう☆!あたしはあんたの妹よ!あんたのことならな〜んでも知ってるんだから、ね☆?」
本当にぜんさんなのか分からないレベルで性格も仕草も姿も変わっている。なら、最初に見た紫髪の女性は──────
これ以上は言わないでおこう。思うだけで吐き気が止まらなくなりそうだから。
「偽物が…ッ!!僕の妹を…ッッ!!!侮辱するなぁぁぁあああッッ!!!」
そういうや否やビビさんは魔法書を空中から取り出す。
「あの本は──────ッ!」
菓子さんはどうやら気づいたようだ。そう、あの本は、──────俺たちの図書室に置いてある魔道書だ。ビビさんはもしもの時に備えて持ってきていたようだった。
ビビさんは乱雑に魔道書を開き、片手でそれを支え、もう片方の手はビビさんの妹──────の姿をしたぜんさんに向けられる。
「消え失せろ…ッ!!!!」
そういうや否や手から紫色の雷をまとったビームのようなものが発射される。バチバチッとそれは、空気を揺るがしながら真っ直ぐにぜんさんの元へと進む。ほんの、一瞬の出来事であった。
しかし、ニヤリとぜんさんは笑い、くるりと一回転する。そうすれば黄金色を持つ髪色に耳まで伸びた髪型、瞳は燃え盛る炎をのような赤みを持っている。チャームポイントと言わんばかりに耳に赤色のピアスがついている。
ぜんさんはいとも容易くその魔法を片手で受け止める。
「な…ッ!効か…ない…ッ!?」
「ふふふ…ッあッっはっはっw!!!単純だなぁ。若者よ。それくらいの事で動じる我ではないわw」
好青年のような見た目で中年のおじさんのような事を言われれば頭がこんがらがってしまう。見ている人への配慮が足りない、そう思えば隣でれいまりさんに笑われる。心を読むな。
ぜんさんは先程の雷を片手でつかみ、そして手を開けば、既に属性は消えうせていた。
「降参しろ。今、我は最高に気分がいい。皆殺しにしないでやる。」
「調子に乗るな〜ぜんこぱす」
ぜんさんがビビさんを挑発しているとメテヲさんがそんなことを言いながらぜんさんの腹部を槍でつきさす。
──────パキンッ
ガラスが割れるかのような音と共に先程までの金髪の姿ではなく、くま耳を生やした、本来の姿であるぜんさんに戻る。ぜんさんはめに少し涙をうかべながら、メテヲさんに文句を言う。
「ちょっと〜!いい所だったじゃないですか!」
「お前、メテヲ達の依頼人をそう易々と殺そうとすんな!信頼が落ちるだろ!?」
メテヲさんの正論にぜんさんは言い返せないらしく、そのまま押し黙る。
「ぜんさん…?反省してくださいね?」
「スミマセンデシタ」
めめさんの圧におされたぜんさんは小声で謝罪する。…なかなか癖の強いひとだ、とその時思ったのだった。
ここで切ります!はい!正式にぜんさん登場!種族的な能力もあかせた!(実質)戦闘シーンもうかけた!もう大満足です!段々と小説を書くコツというか感覚が取り戻せてる気がします!いや〜安心安心!この物語、今年度中に終わりにする予定…なんですけど、行けますかね?ちょっと不安になってきてます…。そろそろ100話も達成ですね〜。そこら辺の素晴らしい漫画などとほぼ同じ量ですよ!?凄くないですか!?まあ、番外編書くのでどうせとんでもない数になりますけど…まあいいんです!これからも応援お願いします!!
それでは!おつはる〜
コメント
26件
知識量とかすごいことになりそう…
シェイプシフター、、(違う) 100話、、凄いな、、