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本来の5月上旬ではないくらいの暑さが空気中を漂う。
まだ冷房設備が完全に設置されていないため耐えるしかないという状況だ。
そしてその状況下で救世主としてらんを救った者がいた
桃『 ぁ “ ~ 、ちべて − 、ひんやり ~ っ 。 』
紫『 お前ら 近 。 』
翠『 慣れた 。 』
桃『 涼しいとこ には 群がってたいだろ 。 』
去年もそうであったからか、すちはらんにベッタリと引っ付かれてもなにも気にしていない様子だ。
いつものすちなら顔を赤くするが、今は冷えるため、という目的がありらんはそうしているだけであって。
自身を思ってのことではないとわかっているからだ。
翠『 空気 が どんより してる感じ が … 。 』
紫『 お前 察しろよ 。 』
翠『 え ? 』
クラスのどんよりとした空気に暑さだけではないと考えたすちはそう口にした。
それにいるまは眉を顰めクラスの様子を伺いながら首を傾げるすちの耳元に歩み寄り、小さな声で続けた。
紫「 この時期 は クラス 変わって 別れる奴 が めっちゃ 増えんの 。 」
紫「 だ – から 何人 か なよなよ してんだろうが 。 」
翠『 あ – … 。 』
少量の憤怒の感情が混ざった声を聞いてすちは一瞬で理解を示した。
だがいるまの言葉にぴくっと反応したらんは納得のいかないようだった。
桃『 なんで そんくらい で 別れんの ? 』
紫『 知らん 、お前 が 恋 してたらわかんじゃね 。 』
桃『 、、してないから出来る訳ないやん 。 』
紫『 お前 巨乳美女大好き なのに 他クラス の 女子 好きにならねぇんだ ぇ − 意外 。 』
桃『 ド突くぞ 。 』
らんの疑問を即答で知らないと返すいるま。
そしてらんを誘導した。
でもらんは期待に応えられず恋などしていないと応えた。
面白みに欠けると考えたいるまは軽く喧嘩を売る動きをした。
その罠にまんまとらんははまった。
翠『 らんらん は 付き合う なら 誰なの ? 』
桃『 え 、なにそれ きゅ − に 。 』
翠『 気になって 。( 笑 』
突然のすちの質問に口を開けながら頭にハテナマークを浮かべるらんに向かってすちは笑いながら答える。
らんは頭を抱えて考え込んでいた。
桃『 性別 とか 関係なく 性格 とか で いい ? 』
翠『 いいよ 。 』
桃『 なつ 。 』
考え込んだ末に生まれた答えは『なつ』という言葉であった。
すちはその名前を耳にした瞬間にピシッと身体を固まらせたがすぐさま平然を装い、心に燻っている悔しみを無理に押し殺した。
すちの気持ちを察していたいるまは話題を変えようと口を開いた。
桃『 でも 結婚する なら すち 。 』
付け加えて、らんはすちの目を真っ直ぐと見て答えた。
揺らぎのないきっぱりとした言い草にすちは唖然とした。
すちのその情ははっきりと顔に映し出され、赤い目をまんまるとさせて瞳孔を開けた。
ぽかーんという効果音が似合うような口の開き方もすちの感情を表現させている。
翠『 ふ に ゃ っっ !? ゛ 』
桃『 本気 に したんか − ? か っ わい − っ ! 』
呆気に取られているすちの両頬に突然らんは手を掛けぎゅっと掴みびよーんと横に伸ばした。
すちは両頬から手を離され先程まで掴まれて赤くなっていた頬を自身の両手で覆った。
桃『 だいじょ − ぶ 、すち も なつ も 友達 。 』
桃『 それ以上 にも それ以下 にも ならない 。 』
椅子の背に身を委ね脱力したらん。
誰の目も見ないでただ天井を眺める。
翠『 やめてよ 、心臓 に 悪い 。 』
桃『 へ − へ − わる ぅ 御座いました 。 』
怪訝そうな表情を浮かべるすちにらんは雑に返事をした。
雑な言葉を返したらんにすちはわかりやすく怒りの感情を面に出した。
らんはそんな様子のすちに気づき、何も言わずに頬杖をつきながら微笑んですちを見つめるだけだった。
翠『 なに? 』
桃『 すちって 騙されやすそ − と 思って ~ !いるま も そう 思うっしょ !! 』
紫『 俺 巻き込むなや しね 。 』
桃『 おまえがな 。 』
すちがらんに疑問を呈するとらんはいつもの明るさで強引に押し返した。
そして腕を掴んでその話にいるまを巻き込んだ。
にしっという効果音が似合う笑顔でいるまと会話をしている。
そんな光景を眺めながらすちはらんが発言した先程の言葉を思い返していた。
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桃『 だいじょ − ぶ 、すち も なつ も 友達 。 』
桃『 それ以上 にも それ以下 にも ならない 。 』
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翠( 友達 か 。 )
翠( そうだよね 、俺達 は 友達 それ以上 の 関係 に なんて なる訳ない 。 )
翠( 男だし 、幼馴染 でも ないし 、らんらん に とって 唯一 の 人間 なんかじゃない 。 )
翠( なんか 、悲しいな … 。 )
悪気はなくともらんはすちの心を抉った。
そんなすちの異変にらんは全くとして気付く様子を見せなかった。
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紫『 な − らん 。 』
桃『 なに 。 』
いるまは二人きりの部屋でらんに声を掛けた。
素っ気なく言葉を返すらんにいるまはあることを尋ねた。
紫『 お前ってさ 、ほんま に 好きな奴 いない ? 』
らんの少しの仕草も逃すものかと代弁するかのような三白眼の黄金の瞳の前で、
らんは何も答えることができず、逃げるように革鞄を持ち教室を立ち去ろうとした。
そんならんの背中に投げかけたいるまの言葉はらんの口を開かせた。
紫『 別 に お前 が そんな態度なら いいけど 、でも また 一人 で 抱え込んでも いいことないぞ 。 』
その言葉を耳にしてらんは身体の方向を変えた。
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