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SNSで広まった”#せーちゃんを元に戻そうプロジェクト”。その投稿を頼りに、Aぇ! groupの5人は“もう一つの飴”の手がかりを探すことになった。
【どうやら、昔の撮影で使われた試作品がどこかに保管されてるらしい。】
リチャードが資料を広げながら説明する。
〈でも、そんな前のもん残ってるんかな?〉
良規が眉をひそめると、晶哉がスマホを掲げた。
『場所、見つけたかもしれん。廃スタジオ……大阪郊外の撮影所跡や。』
《よっしゃ!ほんなら行こや!》と健が立ち上がる。
いちごジュース飲みながらルンルンになっていた誠也も「へへっ、なんか冒険みたいやな!」と呟く。
その笑顔に、全員が思わず和んだ。
夕暮れのスタジオ跡地。
埃をかぶった撮影セットの中で、懐かしいポスターや小道具が転がっている。
『これ……“夢ノ雫キャンディ”のCMポスターや!』
晶哉が見つけたポスターには、若き日の誠也の姿があった。
「懐かしいなぁ……これ、俺がまだ10代の時や。」
そんな時……
「……なぁ、もしもやけど。」
その小さな声に、みんなの動きが止まる。
「このまま戻らんかったら、どうなるんやろって……考えてもうた。」
【戻らんかったら?】
「このままの“せーちゃん”でおったら、ずっとみんなに甘えられるし、怒られへんし……。ライブも、プレッシャーも、誰かに期待されるのもしんどくない。」
〈……せーちゃん。〉
誠也はぎゅっと小さな拳を握った。
「俺、怖いねん。失敗することも、誰かを傷つけることも……。せやけど、このままの“子供の俺”なら、全部笑ってごまかせるやろ?」
その言葉に、全員が黙り込む。
風が廃スタジオを抜け、ポスターの端を揺らした。
やがて、リチャードが静かに口を開いた。
【せーちゃん。それでも、俺らは“元の姿の末澤誠也”と一緒におりたい。】
「……なんで?」
【だって、あの頃の末澤も、今のせーちゃんも、どっちも俺らのメンバーで最年長やから。】
〈小さくても、大きくても、せーちゃんはせーちゃんや。〉
『戻って、また一緒にステージ立とうや!』
涙がぽろりと誠也の頬を伝う。
「……ほんま、お前らずるいわ……。そんなこと言われたら、戻りたくなるやん。」
健が笑いながら肩を叩いた。
《ほんなら決まりや!もう一つの飴、絶対見つけるで!》
雲の切れ間から、夕日が差し込む。
その光に照らされながら、5人は再び歩き出した。
“さぁ、“せーちゃんを元に戻す旅”の始まりや”