コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
魔王時代、余はゴージャス女王という別名も持っていた。戦争で奪った敵国の財産を湯水のように注ぎ込み、自分自身を飾り立てていたからだ。
女だからと舐められるわけにはいかない。強さでも美しさでも、余は王国のトップとして君臨しなければならないのだ。
数年前、虎の子の肝臓から抽出したエキスに強力なアンチエイジング効果があるという噂が王国に流れてきた。
余が虎の子を高値で買い取ると宣言すると、多くのハンターが虎狩りのために森に入り、百人以上のハンターが命を落とした。
転生前の余の美貌は多くのハンターと虎の子の命と引き換えに手に入れたものともいえる。転生前の余は五十歳で絶命したが、転生後は十七歳の女子高生。アンチエイジングを気にしなくてよいというのは小さからぬメリットだ。
転生後の余の顔は転生前の余の妙齢だった頃によく似ている。魔王時代の髪型はゴージャスなロング巻き髪だったが、この体に転生したとき、髪型までほとんど同じだったから驚いた。転生とは異世界にいるもう一人の自分の肉体を借りるものという理論通りの結果と言えよう。
では、余が転生した肉体にもともと宿っていた魂はどうなったのか? 残念ながら消えてしまった。転生とは転生してくる魂ともともとあった魂の激闘。転生してくる魂が勝てば転生が叶い、もともとあった魂が勝てば転生を阻むことができる。
もともとこの肉体にあった魂にとって不幸だったのは突然降ってきた魂が最強の大魔王である余であったことだ。もともとあった魂は雑誌の読者モデルに応募して採用されるなど、それなりにキラキラした人生を送っていたようだ。余はこの肉体を粗末にせぬのは当然として、余が転生する以前とは比較にならぬ栄華をこの肉体に享受させるつもりだ。もともとあった魂がどこに消えたかは知らぬが、どこかに隠れているなら見ていればいい。