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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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媚薬ネタ×「〇〇しないと出られない部屋(物理)」
青視点
ある夜、呼び出されたのはホテル上階の1室。
スマホに送られてきたルームナンバーを探し当て、ドアのチャイムを鳴らした。
…こんな所で打ち合わせ?
事務所で話ができないときはカラオケボックスやこういう密室になる場を使うことがないわけではない…けれど、割と高そうなシティホテルの上階ともなれば単なる仕事の話ではない気がする。
1番可能性が高いのは…ドッキリ企画。
ほぼ8割これだと思っている。
ある程度覚悟を決めてチャイムを鳴らした十秒後くらいに、中からカチリと鍵が開かれた。
「…まろ…?」
途端に視界いっぱいに広がるピンク色。
ドアの隙間から顔を覗かせたのはないこで、驚いたように目を開いている。
「まろが俺を呼び出したん?」
ドアを押し開き、ないこは中に入るように促す。
そこに踏み入りながらも、俺は瞬きを繰り返した。
「俺も呼ばれたんやけど…呼んだんないこちゃうん?」
ドッキリならないこが首謀者だろうと思っていた。
だけど目の前の男は俺と同じように困惑しているようにも見える。
ないこが何かを企んでいる時と演技をしている時の顔は、これでもある程度見抜けるようになったと自負している。
今の表情に嘘はないように見えた。
「俺じゃないよ。昨日スマホに公式アカウントから直接メッセージ来たんだよ。フロントでこの部屋のキー受け取って、来いって」
俺はないこからだと思いこんでいたけれど、確かに公式アカウントなら他のメンバーも動かせる。
何なら信用できるスタッフの一部も使うことができる。
「じゃあ誰が…」
俺が言いかけた時、今入ってきたばかりのドアがガタガタと大きな音を立てた。
廊下側からのその物音に、2人揃って勢いよくそちらを振り返る。
嫌な予感がして手を伸ばしたけれど、ドアの取っ手はビクともしなくなっていた。
「何で…!?」
ガチャガチャと動かそうとするけれど、たった数ミリすら動く気配がない。
向こう側から何か細工をされたんだろう。
思わずないこと顔を見合わせたまさにその瞬間、互いのスマホがピロンと音を立てた。
急いでそれを開くと、昨日このルームを指定してきた公式アカウントからの新着メッセージが届いている。
同時に開いたそれを、ないこが声に出して読み始めた。
「『ないちゃん、まろちゃん。この前の話覚えてる? 1週間前のあの時、僕は主にまろちゃんの一言に深く傷つきました』」
「は!?」
思わず声を上げた俺に構わず、ないこは続けて読み上げる。
「『僕の長年の夢は、まろちゃんの一言に見事に打ち砕かれました。だから、まろちゃんには責任を取って欲しい。僕の夢とまろちゃんの言葉、どちらが正しいのか証明してほしい。ちなみにないちゃんはリーダーであり、社長であるという理由からの連帯責任です』」
「え、何? 怖い怖い!」
というか公式アカウントからと言っても、ふざけた敬語まじりの口調と名前の呼び方から、どう考えてもしょにだやろ、これ。
「『2人共、冷蔵庫の中見て』」
読み上げながら、ないこは指示通り部屋の奥へ進んだ。
一番奥にある小さな冷蔵庫。その白い扉をゆっくりと開く。
中にあったのは小さなガラス瓶だった。
ないこが取り出してかざしてみると、中に少量の液体が入っていて、ルームランプの光を受けてきらきらと光る。
「『これは媚薬です。まろちゃん、この前の自分の言葉覚えとる?』」
「び…やく…?」
言われて、記憶の糸を手繰り寄せる。
…確かに、初兎とそんな話になった気がする。
あの時、自分は何と言った…?
確か、しょにだが媚薬についての話を持ちかけてきた。
どれくらい効果があるものなんだろうなんてわくわくと目を輝かせていた気がする。
りうらはファッション誌をめくりながら聞き流していたし、ないこはうんうんと適度に相槌を打ちながら聞いていた。
…いや、多分ないこも本当は聞き流していた。
そこで、思い出す。
自分のその時のしょにだに対するリアクションを。
「あんなん簡単に手に入るものほど偽物やで。8割方プラセボやと思うわ」
「プラセボ…?」
「プラシーボ効果。有効成分の入ってない薬を飲んでも、思い込みで実際に効果が出ることがあんねん。脳が暗示にかけられるんやろ」
「いやプラセボの意味くらい分かるって! …じゃあ媚薬はほとんど嘘ってこと…?」
「嘘とは言うてないやん。そういうんが多いと思うってだけで」
そこまで思い出して俺は思わず吐息を漏らした。
目の前のないこも恐らく同じことを思い出していたんだろう。
苦笑いを浮かべてから、もう一度スマホに目線を落とす。
「『まろちゃんとないちゃん、どっちでもいいよ。どっちかがその媚薬を飲み干して、一晩そこで過ごしてください。冷静な2人やったら暗示にかかることなく通常運転でおれるんかな。もしそんな2人でも効果が出たら、媚薬の効果はプラセボなんかじゃないってことやね』」
「はぁぁ!?」
「『飲んだことが確認できない限り、そのドアが翌朝開くことはありません。まろちゃん、僕の夢が正しいか、まろちゃんの説が正しいかどっちやろね。楽しみ』」
「『楽しみ』ちゃうわ!」
締めくくられた言葉に思わず恨めしそうに声を上げた。
そんな俺を無視して、ないこはスマホをテーブルに投げる。
代わりにガラスの小瓶を手に取って、ベッドに腰かけた。
「うーん…見た目は無色透明なんだ」
きゅぽっと音を立てて蓋を取り、鼻を寄せる。
「匂いもしない。飲むこと自体は辛くなさそう」
言いながら、ないこはそのままぐっと手を持ち上げた。
今にも口にしそうなその動作に「ちょちょ、ちょっと待って!」と慌てて手を伸ばす。
「え、何?」
「『何』ちゃうて! 何でそんなすぐ飲もうとするん? 意味わからん」
「だって飲まないと明日の朝ドア開かないって…」
「いや、だからって…!」
おもしろいことが大好きだと公言するないこは、こういうところが空恐ろしい。
いくらメンバーからのいたずらだから命に関わるような危険はないだろうと思えたとしても、ここまでためらいなく怪しい薬を口にしようとできるものだろうか。
「それにちょっとおもしろそうじゃん。媚薬ってどんくらい効果あるんだろ、興味ある」
「いやいやいや、あかんて!」
ないこの手から、ガラス瓶をひったくるように奪い取る。
蓋をしっかりと戻すと目の前のピンクの瞳が不満そうにこちらを見据えた。
「えーじゃあ明日出れないじゃん。どうすんの」
「……」
ないこの言葉を受け、しばらく思考を巡らせる。
しょにだが用意したものだ、毒ということはないだろう。
だけど安価なものだった場合、しょにだの意図とは関係なく、体に何らかの不調を来すようなものである可能性がないわけじゃない。
「…分かった」
譲歩するように、俺は吐息まじりにそう声を漏らした。
体に何らかの悪影響が出るかもしれないものを、ないこに飲ませるわけにはいかない。
それにもし本当の媚薬だとしたら…。それこそ余計にこいつには飲ませられない。
それなら答えは一つしかない。
理性的である自信はある。ある程度なら自制が効く。
これでももう数年も目の前の男に片想いしてきて、自分を抑え込んできたんだ。
「俺が飲むわ」
言って再び蓋を取った俺を、今度はないこが「え」と目を見開いて見上げる。
その瞬間、ないこが何か言葉を継ぐよりも早くぐいと瓶の中身を飲み干した。
味は全くしない。匂いもない。
量もほんの少量だから、舌に乗せてすぐに飲み干せる程度。
「とりあえず、シャワー浴びてもう寝る」
薬液を飲み下して、ないこに向けてそう言う。
俺の様子をぽかんと見上げていたあいつは、「あ、うん…」と戸惑ったまま頷いた。
どんな効果が表れようと、それより先に寝てしまうに限る。
言葉通り浴室に向かい、俺は寝支度を整えた。
ベッドに寝転んで、壁に向かって横向きになる。
部屋に用意されていたのは広めのクイーンサイズのベッドで、ツインじゃないところにしょにだの悪意を感じる。
…いやほんまに、まかり間違って何かが起こったらどうする気なん?あいつ。
ここにいないしょにだに向けて内心でそう毒づく。
目を閉じて本気で寝てしまおうとした頃、ないこが浴室から出てきた音がした。
「まろ、寝た? 大丈夫?」
こちらの体を心配するような声に手をひらひらと振って、俺はそのまま意識を飛ばしてしまおうと布団を頭まですっぽりと被った。
異変を感じ始めたのは、それからほんの10分ほどが経過した頃だった。
…体が、熱い…? 呼吸も浅くなった気がして、息がしづらい。
暑さに耐えきれずに、被っていた布団を外す。
だけど冷たい空気にさらされたはずなのに熱が冷える気配はない。
「まろ…?」
はっはっと浅くなった息づかいに気づいたのか、隣で横になっていたないこがこちらを振り返るのが分かった。
その掠れた声に、それだけでドクリと胸が高鳴る。
それと同時に自分の中心が熱を持つのが分かって、脳が焦りを訴えてくる。
「…なんでも、ない…っ」
何とかそれだけを答えて、また布団をぐっと掴んだ。
だけどその瞬間、自分の下半身に布団が擦れただけで、ぐわっと熱が倍増した気がする。
考えるな、これは気のせいだ……。
「媚薬」だなんて聞かされたせいで効果があると勘違いする、プラセボでしかない。
必死でそう自分に言い聞かせたけれど、うまくいくはずもなかった。
目の奥まで熱くなる。
「まろ、マジで大丈…」
こちらを覗きこんできたないこが、俺の肩をぐっと掴んだ。
…やばい。もう無理だ。
いつも聞いているはずのその声を耳にしただけで、自分の中の血が全て逆流するように総毛だつ。
「…ないこ…」
振り向いた瞬間、ないこの戸惑ったような瞳が映る。
だけどそんなことに構っていられなかった。
身を起こしてないこの手を振り解き、今度は逆に俺がその肩を掴む。
「……ごめん…っ」
最後の理性はそんな一言にしか変換できなかった。
それでも行動は真逆をいくのだから、そんな謝罪は何の意味も成さない。
「え」と目を見開くないこの唇に噛みつくようにキスをして、そのままその細い肩を押してベッドの上に沈めた。
(続)
コメント
6件
ぅう~っ…最高すぎますよ。 青桃尊すぎて。 書き方も上手すぎます(美味すぎます ご馳走様でした。 次のご飯(お話)も楽しみに待ってますね
はあぁぁぁぁ!!! やっぱり主様の書くないふはよすぎる!!! もうほんとに大好きです!! シチュが最高すぎる!! 続きが楽しみです!
またまた神作を生み出しておられる… 媚✘かぁ、… 続き楽しみに待ってますっ