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・knkz
kn→「」 kz→『』
『……で、ほんとに今日、泊まってくの?』
「僕が言い出したんじゃん。怖気づいたの?葛葉が」
『別に……そういうわけじゃねぇけど……』
ゲーム終わりの深夜。
配信も終えて、カメラが切られた部屋には、静けさが落ちていた。
叶の荷物はもう部屋の隅に置かれていて、「帰る」選択肢はとっくになかったのに、葛葉はどこか落ち着かない様子。
叶はそんな葛葉の挙動を面白そうに眺めながら、ふっと笑う。
「……緊張してるの?」
『してねぇし……。お前こそ、余裕ぶって、ちょっと顔赤いぞ』
「ばれた?」
『ばれとる』
ソファに並んで座る距離が、やけに気になる。
いつもなら、気楽に肩を寄せてゲームしてるのに。
『なぁ……なんか、おかしいよな』
「うん。お互いちょっと、ぎこちない」
『付き合うって、こういうこと……?』
「……多分ね。でも、嫌じゃないよ。
ちょっと恥ずかしいけど、葛葉が隣にいるの、すごく落ち着く」
葛葉は照れくさそうにそっぽ向いて、でも叶の言葉にじわっと笑っていた。
『……俺も。なんか、お前がここにいるの、まだ慣れねぇけど……落ち着く』
叶がその横顔を見つめながら、そっと身体を寄せる。
「ほら、いつもみたいに肩貸して」
『……なんで俺が貸す側なんだよ』
「落ち着くんでしょ?僕にも貸してよ」
『……ちぇ、しょうがねぇな』
葛葉の肩にそっと頭を乗せた叶。
静かな夜、部屋の中にはほんのりと暖かい空気が流れていく。
「……こうしてるとさ、
“僕たち付き合ってんだな”って、じわじわ実感湧いてくる」
『それ、さっきから5回目くらいじゃね?』
「だって、嬉しいんだもん」
『……バカ』
でもその“バカ”は、どこか甘くて、優しくて、
叶の髪に指を絡める仕草は――付き合いたての、葛葉なりの愛情表現。
初めての夜。何も起きなくていい。
ただ“好きなやつが隣にいる”ことが、何よりも特別だった。