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海を眺めている
私は物心付いた頃から、このどこまでも広がっているこの大きな海が好きだ
どんな事があっても受け入れて包み込んでるようなそんな優しさを感じて、居心地良さを感じている
そして、この海を通して世界のどこかにいる誰かにもきっと会えるんだ
私はいつもの歌を唄っていた
その歌は私が海が好きで作った歌だ
海を眺めながら歌うのが好きなんだ
ただ、いつもと違う事が一つある
それは今はお腹の中にもう一人生きているのだ
二人目になるこの命…我が子の名前をどうしようか考えているところだった
そういえば、私が歌うとお腹の中にいる我が子が動いてる気がする…もしかして喜んでるのかな?
私が好きな海の歌……
海……
そうだ、あなたの名前は「ウミ」にしよう
この海のようにどこまでも大きく広がっていて、受け入れて包み込んでくれる優しさ、出会う人の誰をも背中を押して励ましてくれる波のような強さ
あなたならなれるわ
それから、この歌は「海」と「ウミ」への愛の歌になる
「どうして あの日遊んだ海のにおいは」
「どうして すぎる季節に消えてしまうの」
「またおんなじ歌を歌うたび」
「あなたを誘うでしょう」
〜とある島〜
ある海賊団が買い出しに街へ訪れていた。
最近は買う物をするものを増やしていた。
それもそのはず…この海賊団は赤子を育てているのだ。
船員達は我が子の為に、慣れない育児に奮闘しているのだった。
だが、最近はとある悩みがある。
その赤子が中々、泣き止まず眠ってくれないのだ。
不器用ながらもあやそうとして、変顔をしてみたり、色々試したのが寧ろ泣き声を大きくして叫ばれてしまう。
そのおかげで船員達は寝不足気味だった。
眠気を抑えながら買い出しを終え、話をしていた。
「…よし、こんなものか」
「そうだな、船に戻ろう」
「ああ、あんまり待たせるわけにはいかねェ」
「ウタの子守を交代してやらないとな」
「…でもウタのやつ、いつ寝てるんだってくらいずっと泣いてるよな」
「どうしたら寝てくれるんだろうな」
「…なァ、頭 かしら。あんた、ウタを笑わせた事あったよな?」
「ん?そんなことあったか?」
「即興で歌ってただろう」
「あァ、そうだったな。それがどうした?」
「歌ならウタを泣き止ませることが出来るってことだろ」
「たしかにな。じゃあ戻ったらパンチに聞くか」
「ああ」
「だけどおれ達が歌う唄で眠るのか心配だな」
「どんな歌を歌うか…だな。」
「ああ…」
船に戻りながらそんな話をしていて、海岸に辿り着いた。そこで赤子を抱えた母親を見掛ける。
まるで波に揺られる船のように、その母親は子供を優しく揺らしていた。
そして、海を見つめながら歌っていた。
「どうして あの日遊んだ海のにおいは」
「どうして すぎる季節に消えてしまうの」
「またおんなじ歌を歌うたび」
「あなたを誘うでしょう」
その光景を見ていた海賊団の船長は思い付いた。
「あれだ。あんな歌を歌おう」
「おれ達は海賊だ。波を枕に、ねぐらは船だ」
「そして…赤子には子守唄だ」
船に戻り仲間達にその話をした。
そして、みなで歌を作り出していくのだった。
「この風はどこから来たんだ」
「って聞いても誰も答えないけど」
「この歌はどこへ行くんだろうな」
「見つけたいぜ おれだけの答えを」
〜風車が並ぶ田舎の村〜
ここはフーシャ村、皆が自然豊かでのどかな街で穏やかに過ごしていた。
だが、こんな村に似つかないほど騒がしい子供の兄妹が居た。
どうやら、今日はそんな二人に村の人から隣町までのおつかいを頼まれていた。
初めて行く場所ではあるが、知らない場所へ行くのがわくわくしているこの兄妹は迷い無く進んで行く。
そして、無事に辿り着く事は出来た。買いたいものを買って、後は戻るだけだった。
だが…。
「こっちだったな」
「本当に合ってるか?ルフィ」
「大丈夫だ。心配するなウミ。おれたちは南から来たんだ。だから南に戻れば良いだけだ。」
「南ってこっちなんだ」
「ああ、暖かい方が南だからこっちで間違いねェ!」
「そうなのか!」
兄のルフィは独自の理論で方角を確かめて道を進んで行く
そんなルフィを信じて付いていく妹のウミ
ルフィはふと歌を唄い出した
「南の島は〜あったけェ〜」
「パイナップルプルプル あたまポカポカ」
「アホばっか〜」
「あひゃひゃひゃ!なんだその歌?おもしれェ歌だな!」
「しししっ!だろっ?」
「ああ、歌って良いなァ。私も歌う!」
「じゃあ一緒に歌おうぜ!」
「おう!」
「「北の島は〜寒い」」
「「ひやっこいこいこい あたまブルブル」」
「「アホばっか〜」」
二人は歌いながら、笑いながら道を進んでいく。
気付けば空が橙色に染まっていた。
そんな中、ある景色が見えた。
「お!すっげェキレイだなァ!!」
「ホントだァ!すげェ!!」
ここは水平線を一面に見渡せる場所だった。
そして、夕陽が間もなく海に沈もうとしている瞬間だった。
二人はこの場所を気に入ったのだった。
そんな景色をしばらく楽しんでいたら、ルフィがふと戻る道の方を見ると風車がいくつも並んでるのが見えた。
村までもうすぐだという事が分かった。
その時、どこからか唸るような音が聞こえてきた。
(ぐううううう)
「おれ、腹減ってきたなァ」
「そろそろ帰ろうぜ、ウミ」
音の正体はルフィのお腹の音だった。
そして、ルフィは海を見つめてるウミに声を掛けて、はしゃぎ疲れたみたいに大人しく帰り道に戻ろうとしていく。
ウミは先程から静かに海を見つめて何かを感じていた。
「歌かァ…」
ウミはこの海の景色を覚えがあった
こんな景色の中で、まるで波に揺られる船のように穏やかに、歌を唄われていた気がした
今よりもずっと幼い頃の記憶
それを少しずつ思い出していた
そしてその歌を口ずさんでいた。
「どうして あの日遊んだ海のにおいは」
ウミはこの歌を口ずさみ、どこか暖かい気持ちを感じて笑った。
「おーいウミ!早く帰ろうぜ!」
「…あっ!分かった!帰る!」
先に戻ろうと進むルフィに走って追い掛けた。
だが、ふと立ち止まり振り返りこの景色を見た。
ウミはまたここに歌いに来ようと思った。
〜フーシャ村〜
最近は前よりも騒がしくなったこの村の酒場。
それもそのはず。とある海賊団がこの村を拠点に停泊していた。
毎日のように酒場にその海賊達がやってきて、馬鹿騒ぎをしていた
ルフィは毎日の様に、この海賊達に冒険の話を聞いていた
村という限られた世界しか知らなかったルフィには、その冒険話は魅力的だった
ついにはこの海賊の船長に、船に乗せてほしいと頼み込む程だった
だがしかし、毎度のように断られていた。
そして、ルフィは今日も海賊達が居る酒場に頼み込みに行くのだった
お願いをする相手はいつも通り一人しかいない
赤髪海賊団の大頭「シャンクス」だ
先に出ていった兄のルフィを後から追うウミ
遅れて酒場の前まで辿り着いた時、ちょうど向こう側から同じくここへやってきた少女と顔を合わせる
この赤髪海賊団、シャンクスの娘で、音楽家の「ウタ」だ
ウミはいつも通り声を掛けた
「あ、ウタ!おはよう!」
「ウミ、おはよう」
「またルフィはシャンクスに頼み込んでるのかな」
「そうだな!ルフィは海賊になりたいからな」
「はぁ…本当に懲りないね、あいつは」
「なはは!そうだなァ」
「ウミはなりたいとは思わなかったの?」
「私はいいや」
「そう」
「おう。あ、でも…」
「なに?」
ウミは何かを思っているようにウタを見つめていた。
ウタはどうしたのだろうと見つめ返していた。
「ウタ、行きたい場所があるんだ」
「行きたい場所?…じゃあ行こうか」
「うん!」
ウミは何か言いたい事があるのだろうと感じて、ウミよりも歳上のお姉さんとして、気を使い付いていってあげようと思った
そして、二人はとある場所へ辿り着いた
そこは以前、ルフィとウミが見つけた水平線を見渡せるあの場所だった
ウタは案内されて初めて見たこの景色を見て感心していた
「素敵な場所ね」
「だろ?お気に入りの場所なんだ」
そう言ってウミは笑顔を見せた
ウタも笑顔で応えた
そして、ウミはウタに話し出す
「ウタが歌ってる「風のなんとか」って唄あるだろ?」
「「風のゆくえ」ね」
「ああ、あの唄は小さい頃に誰かに歌ってもらったって言ってたよな?」
「そうだね。覚えた部分の詩を私が作り直したんだ」
「そっか‥私にも小さい頃に歌ってくれた歌があるんだ」
「へぇ、そうなんだ。どんな歌なの?聴かせて??」
「下手でも笑うなよ?」
「どうかなあ〜」
「えっ!じゃあやっぱり歌わない…」
「冗談だよ冗談!ウミの歌、聴きたいよ」
「わ、分かった」
人前で歌のは始めてだなとウミは思った
そして、海を見つめて深呼吸して歌い出す。
「どうして あの日遊んだ海のにおいは」
「どうして すぎる季節に消えてしまうの」
「またおんなじ歌を歌うたび」
「あなたを誘うでしょう」
「〜〜〜」
歌を唄い終えたウミ。
ウタはその歌を聞いて心を揺さぶられていた。
「素敵な歌だったよ」
「本当か?ありがとう」
照れながらも嬉しそうに笑うウミは続けて言う
「この歌を歌ってくれたのは私の母ちゃんなんだ」
「ウミのお母さん?」
「ああ、顔も覚えてないけどお母さんだってのは分かるんだ」
「そっか」
「いつか会いてェな…母ちゃん」
「…じゃあ、私が知らせてあげる」
「え?」
「私がこの歌を世界中に届くように歌い続ければ、どこかに居るウミのお母さんにも伝わるでしょ?」
「そうだけど…良いのか?」
「もちろん!私はこの歌を好きなったし、もっと広めたいなと思った!…何よりウミの為にね♪」
「ウタ…ありがとう!」
「ふふっ…私に任せて!」
「ウタは頼りになるなァ」
「当たり前でしょ?私は赤髪海賊団の音楽家だよ。いつか世界中のみんなが自由になれるように歌う女だよ!」
「すごいなァ」
「ウミもいつかお母さんに会うんでしょ?」
「そうだな、会いたい!」
「そうこなくっちゃ」
本当にいつか会えるだろうか…とウミは思いながらも
ウタのその自信に満ちた笑顔には感心していた
世界のつづきでいつか会えるって信じられるかな?
「あ、この歌の名前は?」
「決めてなかった…じゃあこの歌は……」
「世界のつづき」
〜とある海域〜
赤髪海賊団は航海をしている
最近、とある歌をみんなで唄うようになる
この船の音楽家であるウタがその歌をみんなに教えていた
その歌にシャンクスはどこかで聴いた覚えがある歌だな…と感じていた
そして、今日も歌い続けている
「信じられる? 信じられる?」
「あの星あかりを 海の広さを」
「信じられる? 信じられるかい?」
「朝を待つ この羽に吹く」
「追い風の いざなう空を」