テラーノベル
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mb × kgm
DV表現 有
kgm → k「」
mob → 「」
… 好きだ、と先に口にしたのはどちらからだったか。恋人になってから、2人きりでの帰り道。 あの頃の淡くてしあわせに満ちた恋心が,もう今はぼんやりとしか思い出せない。1年記念の花束。ふたりで過ごした2年記念日。そう…それから、そのあと…
霞んだ視界。瞼を擦り, 無理やり自分を起こす。…頭がぼんやりとしている。淡い思い出に浸るのも束の間, 荒れたキッチンが目の隅に見えた。
k「 っ、…ごめんなさい 、ごめん ,なさい。 許してくださ, …い 。」
「 うるさい !お前が悪いんだ…! 」
k 「 ぅ ,” …嫌 , 殴 , らなぃで … 」
「 っ、黙れ!! お前のせいだ !! 」
k「 っひ … ぃ”, ごめんなさい, ごめんなさい …。 」
数時間前のことを思い出す。
皿の割れる音。怒鳴りながら拳を振るう彼に,フローリングの床に額を擦り付けて,体裁なんて気にせず、みっともなく謝った。
癇癪を起こした彼が投げた皿。蹴り飛ばした椅子。二人で選んだお洒落でモダンなラグも、今となっては落とされたおかずでぐちゃぐちゃだった。…彼は最近おかしいのだ。私に拳を振るうことなんて, 今までなかったのに。仕事で疲れているのか。はたまた、私が彼の気に触れるような悪いことをしたのか。
小さな溜息をつく。…皿の片付けを始めないといけない。ああ, 頭が痛い。彼に殴られた箇所がズキズキと痛む。全身が軋むようだった。割れた破片を拾おうと, 重い体を持ち上げたそのとき。途端,扉が開いた。
「 … kgm , まだ起きてる ? 」
「 あの,さ。今日一緒に寝ない? 」
あちこちへ逸らされた彼の目が,最後は私の方へと向く。数刻前の自分が何をしたのか分かっているのか。 私のことを殴った癖に。ご機嫌取りのつもりなのだろうか。
そう問いたかったが、もうそんな気力さえ無かった。もういいんだ。彼に従っていれば殴られない。
k「 はい。…一緒に、寝ましょう。 」
「久しぶりですね。何だか。」
冗談めかすように, 無理やり笑顔を作ってそう彼へ伝えた。拒否されないことにほっとしたのか、彼も私を真似て, 気まずい合間を埋めるように笑う。寝室までの短い道のりが, お互いの沈黙のせいで永遠にも感じた。
寝室へたどり着いて, ダブルベッドの片方に彼が座る。小さい声で呟いた。
「 …俺, 殴るつもりはなくて。 」
「 俺が全部悪かった。 」
「 本当に、ごめん。 」
彼は膝の上の拳を握って,そう呟いたあと、自分の隣へ呼ぶ。贖罪のつもりだろう、私をぎゅうと抱き締めた。自分が蹴った痣の部分を気にせず、離さないぞとばかりに力強く抱きしめるものだから、少し痛かった。早い心臓の音,ぬるい体温,…今まで足りなかった分を満たすように, 1つ1つ感じ取る。 …私は何だかんだこの人を好いているのだ。彼の腕に抱かれてそう思ってしまった。
自らを殴った人間をまだ好きになれる自分の頭のおかしさと,あまりのお人好しさに笑いが溢れた。…いつか,今みたいに殴られて, 抱き締められて, それで全部許してしまう …これが日常になる日が来るのだろうか。
彼に殴られたぼろぼろの身体で,当たり前に笑顔で過ごす日がいつか来るのだろうか。
彼からの愛を確かめて, 暴力さえ受け止めるのが当たり前になる日が来るのだろうか。
いや, 自分で理解していないだけで, すぐそこまで来ているのかもしれないが。
そんな不安さえ、 今は全部どうでもよかった。だって、彼に抱き締められて眠るこのベッドでは,
きっと世界でいちばん幸せなのだから。
コメント
1件
うわあ…にものさん、読んだよ…第1話からすごく重くて苦しい展開だったね😢 DVの描写がリアルで、殴った後に優しくして許しちゃうループがリアルすぎて胸が痛んだよ…「世界でいちばん幸せ」って思う主人公の心がもう壊れかけてて、続きが気になりすぎる…🥺 これからどうなっちゃうんだろう…