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おもしろい☺️
移住してきた次の日。
ぺいんは前日の疲れからか少し遅めの昼頃に起床した。新しい自宅には人影がなく、既に他の家族は動き始めていることを察し、まずは目の前にある店に行くことにした。
店はまだ開けていないようで、裏口から店内に入るとさぶ郎が一人で仕込み作業をしていた。
「さぶ郎、おはよー」
「お母さん、おはざいまーす。もうお昼だよぉ」
「ちょっと疲れがねぇ。さぶ郎は何してたの?」
「ご飯と飲み物とジョイントの仕込みしてたぁ」
「一人で?ミンドリーは?」
「お父さんはね、早起きしたからってリサセンに行ったよぉ」
「はぁ?リサセンとかやってること前の街と変わらんやんけ」
「朝イチに行ったから、電話したら帰ってくると思うよー」
「オッケ。電話してみるわ。店はまだ開けないんだよね?」
「その辺もさぶ郎一人で分かんないから待ってた」
「了解ー。仕込みありがとうね」
ぺいんは厨房にさぶ郎を残し、店の2階にある更衣室に向かいながらミンドリーに電話を入れた。
「ごめん、起きるの少し遅かった。そろそろこっち戻ってくる?」
「おはよー。今、西高速で軍事基地の近く通ったから5分くらいで着くと思うよー」
「了解ー。着いたら今日はどう動くかさぶ郎も一緒に相談したいんだけといい?」
「おっけー。じゃあ後で」
程なくして、店裏のガレージに1台のキャンピングカーが到着した。その深緑色のカラーリングと貼られたミンミンボウのステッカーから間違いなくミンドリーの車両である。
車から降りたミンドリーは前の街と同じ上が白と下が黒の中華服を着ており、出迎えたぺいんも黄色の仮面は相変わらずだが、上が黒と下が白の中華服に着替えていた。
「リサセン、これで行っていたのかよ」
「ぺいん君も同じ車持っているから、これの積載知ってるでしょ?」
「知ってますけども。なんならミンドリーが持ってくるから自分のは使わんと思って前の街に置いてきましたけども。それにしたって、初手リサセンってどうなん?素材とかいる?やってること前の街と変わらんやん」
「…ぺいん君」
「はい、なんでしょう」
「我々には金がいる。素材はどこでも売れる」
「…おっしゃる通りで」
「あと今はまだ判断できないけど、クラフトする必要も出てくるかもしれない」
「………。まだ街の様子を見に行ってないけど、そんなに?」
「話が早くて助かるよ。ちょっと北まで走ってみた感じだけどね」
「まぁ、そこどうするかはミンドリーの判断に任せるよ。僕、リサセンとかクラフト苦手だし。その分、街の情報集めるよ」
「正直、そこは助かるから任せるよ」
「オケ。じゃあ、さぶ郎も待ってるから中で今日どうするか話そうぜ」
「ただいまぁ。さぶ郎、仕込みありがとねぇ」
「おかえりなさぁい」
「さぶ郎、今日これからどうするかっていう話するんだけど、立ち話もなんだから、表の席のところ行こうぜ」
「あーい」
ようやく揃った家族3人は家族会議をすべく客席側に移動し、ミンドリーが予定を話し始めた。
「まずお店なんだけど、大々的なオープンイベントはしない。ただ今後、開店と閉店はSNSにお店のアカウントを作って投稿する。それはさぶ郎お願いできる?」
「あーい」
「販売形態なんだけど、店頭の他に出前もしようと思う。なので出前の話も一緒に投稿して欲しい」
「出前は僕やるよ。配達バイク持ってきたし、スパローもあるから多少遠いところでも行けるし。その代わりお店はさぶ郎とミンドリーに任せる事になるけど」
「それは問題ないよ。あと、これは絶対守って欲しいんだけど、そもそもこの街に来たのは家族の時間を作るためだから。なのでお店開けて欲しいとか出前して欲しいって言われても、みんなで出かけたり遊んだりしている時は家族優先で、お店の対応しなくていいから」
「了解した」
「あいっ」
「最後に、今日は引っ越してきたばかりだから、ある程度の顔つなぎで挨拶回りをしようと思う」
「どこ回る?お世話になるって考えたら警察と救急隊?」
「あとは飲食店とメカニックかな?この街、前の街と違ってどちらも少ないらしいんだけど、同業他社だし、今後メカニックにもお世話になるだろうから」
「今マップ見たんだけど、メカニックは街中の高速近くと東側のカジノから少し離れたところだけだね。飲食店は…」
「レギオンそばのカフェと、警察署の東の方のピザ屋さん」
「さぶ郎、そんだけ?」
「うん、パン屋さんもあるけど無人かも」
「ありがと。まぁ、他あるとしたらホットドックの屋台がレギオンにあるかなぁ」
「まぁ、その辺は行ってみてだね。挨拶回りはみんなで警察署行って、その後は手分けしよう」
「僕、カフェと救急隊、レギオン見てくるよ」
「じゃあ、さぶ郎は俺と他の飲食店とメカニックかな」
「あーい。車、何で行くのぉ?」
「俺とさぶ郎はランポかな。ステッカー貼ってあるから店の車ってわかりやすいし。ぺいん君は?」
「配達の話もするなら、配達用の原チャリで行くよ?スピード出ないから待ってもらうことにはなるけど」
「それは構わないよ。じゃあ、ランポとバイクに店の商品とメニュー入れて警察署から行こうか」
話がまとまった家族はそれぞれ車両に商品とメニューを詰め込み、まずは警察署へと向かうこととなった。