テラーノベル
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白銀の景色が果てなく広がる、完全に再建されたSWAPSAKENの箱庭。
ヌーブが刻んだ惨烈な裂け目はテラモンの神技によって跡形もなく縫い合わされ、世界は再び静寂と秩序を取り戻していた。
「ふふ、実に素晴らしいお戯れでしたわ。お二人の絆の強さには、この私の箱庭すら霞んでしまいますわね」
白銀の玉座に腰掛けたアクチュアリティ女王が、お茶を嗜みながら微笑む。
世界の修復という本来の目的は果たされた。
スペクターとの約束に従うならば、テラモンも1x1x1x1も、泥と血煙が渦巻く地獄――FORSAKENへと帰還する刻限であった。
「おいテラモン……。戻るんだろ、俺たちのいたあの胸糞悪い地にさ」
黒地に緑の模様が入ったローブの裾を整えながら、1x1x1x1は未だどこかぎこちない足取りで呟いた。
弱体化した身体のせいで立ち眩みがし、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「FORSAKENに戻れば、俺の毒も、お前の絶対的な力も元通りだ。……お前だって、こんなあべこべで妙な愛に満ちたイカれた世界、一刻も早くおさらばしたいはずだろ?」
しかし、テラモンは金色の剣をゆっくりと鞘へと納めると、静かに首を横に振った。
白いフードの隙間からふわふわと覗く茶色い巻き毛が、白銀の心地よい風に揺れる。
「……拒否する」
「は? 拒否って……お前、帰らないつもりか!?」
1x1x1x1が赤く光る目を丸くして叫ぶ。
テラモンは白黒の重厚な鎧をカシャンと鳴らし、静かに1x1x1x1の方へと歩み寄ってきた。
「FORSAKENに戻れば、お前は再び惨劇を撒き散らす最凶のキラーに戻り、私はそれを討ち払うだけの無味乾燥な『秩序』に戻る。……それでは、今までと何も変わらん」
テラモンは1x1x1x1の前で足を止めた。
目元を覆う白いフードの影。
だが、そこから覗く瞳には、機械のような冷酷さではなく、かつて失われていたはずの深い情愛と、どこか不器用な温もりが宿っていた。
「感情が戻ったところで、お前が無駄に騒がしく、鬱陶しい奴であることに変わりはないがな」
「言い草!! せっかく感動的な雰囲気になりかかってたのに台無しだよ!!」
憤慨する1x1x1x1。しかし、次の瞬間、彼の言葉は完全に途絶えた。
テラモンが静かに手を伸ばしたのだ。
甲冑で覆われた指先が、1x1x1x1の黒い肌の頬へ、壊れ物を扱うかのようにそっと優しく触れる。
「……っ!?」
ひやりとした手甲の冷たさと、その奥にあるテラモンのじんわりとした体温。
弱体化してキラーとしての威厳をすっかり失った1x1x1x1の顔に、テラモンの指先が愛おしそうに滑る。
SWAPSAKENの反転効果のせいか、あるいはただの羞恥心からか、1x1x1x1の黒い肌はみるみるうちに朱に染まっていった。
「な、なんだよ……急に顔とか触って……! おい、なんかさっきより距離近くないか!?」
#Vanity
ゆ♨️
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#azure
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#1x1x1x1
ゆ♨️
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「……気のせいだ。お前が勝手に狼狽えているだけだろう」
白いフードの陰で、テラモンは意地悪く、そしてどこか満足そうに薄い唇を歪めて微笑んだ。
FORSAKENのような過酷な殺し合いもない。
だが、かつてのような完璧すぎる退屈な秩序でもない。
あべこべの法則が働き、斬られれば甘やかな痺れが走り、毒は果実の甘みに変わり、かつて不倶戴天の敵だった二人が「半身」として寄り添うことを許される世界。
「……まあいい。当分はここで、お前のその無駄な騒がしさを監視してやるとしよう」
「監視ってなんだよ! 結局俺を追いかけ回す気か!? 離せ、顔が熱いんだよバカテラモン!!」
真っ赤になって暴れる1x1x1x1の手を、テラモンは解くことなく、むしろ愛おしそうに引き寄せた。
崩壊から再建された白銀の箱庭で。
かつての「秩序の神」と「邪悪の化身」は、照れくさそうな喧嘩と、ほんのり甘い毒を孕んだ新しい日常を、静かに歩み始めたのだった。