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POLARISの再開記念ライブが終わり、世間の熱狂と称賛を受けていた。しかし、その裏で徐々に影を落とし始める火種があった。それは、タクトたちが歩んできた過去、そしてライブの裏で発生していた不穏な出来事だった。
「POLARIS最高だった!」
「タクトのリーダーシップに感動した!」
SNSではライブに対する称賛が飛び交う一方で、こんな声も混じり始める。
「ケンの過去、闇バイトだったって噂、本当?」
「POLARISのメンバー、もともと戦士だったってマジ?ライブでのエフェクト、本物だったんじゃ…?」
そして極めつけは、一部の観客が撮影していた動画だ。ライブ中の一瞬、タクトの背後に黒い影が浮かび上がり、それが悪魔のように見える瞬間がネット上で拡散され始めた。
ライブを終え、控室でリラックスするメンバーたち。だが、タクトのスマホが震え続け、画面を見た彼の表情は硬くなった。
「…炎上してる。」
ショウが画面を覗き込み、眉をひそめる。
「これは…ただのエフェクトじゃ済まないな。」
ケンがため息をつきながら肩をすくめる。
「私の過去も掘り返されてる。完全に火に油だね。」
「どうする?」
タクトに問うが、彼は視線を落としたまま答えない。
マネージャーを交えての会議が開かれる。状況は悪化の一途をたどり、メディアやスポンサーからも問い合わせが殺到していた。
「これじゃ、次のライブどころか、POLARISの存続すら危うい…」
マネージャーの声が控室に響く。
「じゃあ、過去を全部公開する?」
皮肉っぽく言うと、タクトは首を横に振る。
「それはできない。」
タクトの言葉には、強い決意が込められていた。
「でも、何かしないと…私たちの戦いを知られたら、それこそ世界が混乱する。」拳を握りしめる。
翌日、タクトは再度メンバーたちを呼び出した。疲れが見えたが、その目にはかつてのリーダーとしての輝きが戻っていた。
「僕たちの過去は、確かに普通じゃない。でも、それを否定するつもりはない。」
「何か考えがあるのか?」
ケンが尋ねる。
「うん。僕たちの物語を、音楽で語ろう。全部じゃなくてもいい。でも、僕たちがここにいる意味を、歌で伝えるんだ。」
タクトの提案に、メンバーも静かに頷く。
POLARISは炎上を逆手に取り、新曲『Phoenix』を発表。曲の中で「過去に囚われず、何度でも蘇る」というテーマを伝え、ファンに真っ直ぐ向き合うメッセージを込めた。
歌詞(サビ抜粋)
立ち上がれ 燃え尽きても
僕らは何度でも飛び立つ
この胸に宿る炎が
未来を照らす光となる
新曲は賛否両論を巻き起こしながらも、次第に多くの人々の心を掴んでいった。
「結局、すべてが消えるわけじゃない。でも…僕たちは前に進む。」
タクトはステージの袖から観客席を見つめながら呟いた。
POLARISの炎上は、彼らに新たな試練を与えたが、それを乗り越えるたびに彼らは強くなる。その光は、誰にも消すことができないものだった。