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優しい嘘の果てで

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優しい嘘の果てで

8 - 第8話🕊️「さよならを選んだ兄ちゃん」

♥

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2025年07月11日

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――これは、“兄ちゃん”の最後の選択。

優しすぎるその手で、大切な人を未来へと送り出す物語。


人間の世界への扉は、目の前で光を放っていた。

ついに、すべての戦いは終わった。

すべての子どもたちは、自由を手に入れた。

エマ、ノーマン、レイ――そしてシンムも、今ここにいる。

でもシンムは、知っていた。

エマたちの瞳がまだ“ここ”に残るつもりでいることを。

「エマ、ノーマン、レイ」

ふわりと微笑みながら、シンムは三人の肩にそっと手をかけた。

「――いってらっしゃい」

その瞬間、

シンムの手が、三人を強く前へと押した。

「――えっ、シンム兄ちゃん!!?」

「な、なんで……!?」

「待って、兄さん……!やめてっ!!」

扉の向こう、光のなかに押し出される三人。

そのまま――

パァン……

扉は、静かに閉じた。


エマが、扉を叩きながら叫ぶ。

「シンムお兄ちゃああああんっ!!なんで、なんでぇっ……!やだ……!やだよぉぉぉ!!」

ノーマンは声を失い、

レイは拳を握りしめて、ただ震えていた。

「……なんでお前は……いつも、自分を後にするんだよ……」


扉の向こう――鬼の世界。

もう人間は誰もいない。

そこに、たった一人、シンムが立っていた。

風に黒い髪がなびく。

空を見上げて、目を閉じて、ぽつりとつぶやいた。

「……これでよかったんだ。

僕が残るなら、あの子たちはきっと笑って生きていける。

エマも、ノーマンも、レイも、優しいから……犠牲になることを選ぶだろうから」

シンムは静かに座り、広がる景色を見つめながら――微笑む。

「……大好きだよ、僕の弟たち、妹たち。

君たちが笑っていられるなら、僕はここで生きていくよ。

さよなら。僕の大切な家族」


🌸人間の世界、涙にくれるエマたちの手には、

あの時シンムがそっと忍ばせた“兄弟で撮った一枚の写真”。

そこには、やさしい笑顔のシンムと、彼の腕の中に集まった子どもたち。

もう声は届かないけれど、

その笑顔は、これからも彼らの心の中で、生き続ける。


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