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碧瑠(みどる)&理雨
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最近ここにしか投稿してない気がする・・・。
どうも!百合に挟まる男はみんな死ねばいい!
夏の穂です!
かき氷うめぇ〜・・・書きます。
猛暑日のアスファルトは、踏みつけるだけで靴底が溶け出しそうなほどに熱を持っていた。
午後二時。一番気温の上がるこの時間帯、ヨコハマの街を歩く物好きはそうそういない。ましてや、犬猿の仲と噂されるポートマフィアの幹部と、武装探偵社の社員が並んで歩いているなど、奇妙を通り越して怪奇現象の域だった。
「暑い。呪う。この世界の太陽というシステムを私は今すぐにでも呪い殺したい」
白のブラウスの首元をだらしなく緩め、砂色の薄手のコートを幽霊のように引きずりながら、太宰治は恨みがましい声を上げた。ウェーブのかかった茶髪が、首筋に張り付いている。
その隣で、中原中也はいつも通りの黒帽子を心持ち深く被り直した。ノースリーブのタイトな黒トップスに、薄手のクロップドパンツ。普段の重装備に比べればずいぶん軽装だが、それでも額にはうっすらと汗が浮かんでいる。
「うるせえよ。暑いのはお前だけじゃねえ。だいたい、わざわざこのクソ暑い中、俺を呼び出しといて文句ばっか言うんじゃねえよ」
「だって、一人で歩いたらそのまま干からびて心中相手を探す前に消滅しちゃうじゃないか。中也、君の異能で太陽光を遮断するとかできないの?」
「できるかボケ。重力を何だと思ってやがる」
口では突っぱねながらも、中也は自分の身体をわずかに太宰の太陽側に寄せ、男物の日傘を傾けた。中也の小柄な体躯では太宰の長身を完全に覆うことはできないが、それでもほんの少しの影が太宰の白い肌に落ちる。
二人は、ポートマフィアと武装探偵社という互いの立場を、今日だけは完全に棚上げしていた。二十二歳。かつて「双黒」と呼ばれた最悪の二人組は、今やどちらも成人した大人の女だ。そして、誰も知らない裏の顔として、たまにこうして密かに会っては肌を重ねる、ひどく曖昧で、けれど切っても切れない関係を続けていた。
「着いた。ここだよ」
太宰が指差したのは、駅前にあるごくありふれたチェーンのファミリーレストランだった。ガラス扉を押し開けた瞬間、人工的な冷気が二人の肌を優しく撫でる。 案内されたドリンクバー近くのボックス席に、二人は滑り込むように座った。冷房の風が直接当たる特等席だ。
「生き返る……。やっぱり夏は文明の利器に限るねえ。」
「お前が勝手に死にかけてただけだろ。ほら、さっさと注文しろ。俺は冷たいもん食ったらすぐ出るからな」
中也はそう言いながら、メニュー表を開いた。目当てのページには、夏の期間限定フェアとして、器からはみ出すほどに盛られたかき氷の写真が並んでいる。 「ふわふわ純氷かき氷」
それが、太宰が中也をわざわざ呼び出した理由だった。
「私、この『特製濃厚苺みるく』にする。中也は?」
「あ? 俺は……この『宇治抹茶金時』でいい。白玉乗ってるしな」
「へえ、渋いねえ。相変わらずおばあちゃんみたい」「うるせえ、お前が子供っぽすぎるんだよ」
注文を済ませ、運ばれてきた冷たい水を一気に飲み干す。少し落ち着くと、卓を挟んだ二人の間に、気怠げで、けれどどこか甘い空気が流れ始めた。
太宰は頬杖をつき、長い睫毛の奥にある茶色の瞳で中々をじっと見つめた。普段の任務用の鋭さは欠片もなく、どこか熱を帯びたような、とろけた視線だ。
「何見てんだよ」
「別に? 中也、今日いつもよりメイク薄いね。汗で落ちるのが嫌だったの?」
「……うるせえ。お前だって、そのリップ、いつもと違うだろ」
「あ、気づいた? 夏限定の、ほんのり桃の香りがするやつに変えたんだ。嗅いでみる?」
太宰が身を乗り出し、机越しに顔を近づけてくる。薄いピンク色に彩られた唇が、中也の目の前に迫る。ほんのりと、甘い果実の香りが鼻腔をくすぐった。 中也は顔を赤くしながらも、逃げることなく太宰の額を人差し指で小突いた。
「ここはファミレスだ、馬鹿。弁えろ」
「ちぇー。誰も見てないのに。中也は本当に固いなあ」
太宰はつまらなそうに唇を尖らせて元の位置に戻る。けれど、その足元では、テーブルの下で太宰の裸足の先が、中也の足首をいたずらっぽく小突いていた。中也はそれを拒むことなく、ただ軽く踏み返すことで応えた。
「お待たせいたしました」
店員の形式ばった声と共に、大きなガラスの器に盛られたかき氷が二つのせられた。
写真以上のボリュームだった。純氷と銘打たれたそれは、雪のように白く、驚くほど細かく削られている。太宰の苺みるくには真っ赤なシロップと練乳がこれでもかと注がれ、中也の抹茶金時には深い緑のソースと、艶やかな粒あん、そしてもちもちとした白玉が三つ添えられていた。
「わ、これは見事だ。崩さないように食べるのが難しそうだね」
「感心してねえで、早く食わねえと溶けるぞ」
中也はスプーンを手に取り、まずは白玉を一つ口に運んだ。冷たく冷やされた白玉はもちもちとしていて、ほんのり甘い。続けて、緑色の氷をそっとすくい取る。
口に入れた瞬間、氷は噛む必要すらなく、一瞬で淡雪のように溶けて消えた。後に残るのは、本格的な抹茶の苦味と、上品な甘さだけだ。
「……うめえ」
「でしょ? 私の苺も、すごく濃厚だよ。ほら」
太宰が自分のスプーンで苺シロップのたっぷりかかった氷をすくい、中也の目の前に差し出してきた。 あからさまな「あーん」の催促だった。
「おい、だからここがどこだと――」
「いいからいいから。溶けちゃうよ? ほら、早く」
急かされ、中也は周囲を素早く見回した。平日の昼下がりのファミレスは、奥の席で奥様方がお喋りに興じているくらいで、誰もこちらを気にしていない。 中也は観念したように小さくため息をつくと、少し恥ずかしそうに目を逸らしながら、太宰の差し出したスプーンを咥えた。
冷たい感覚のあと、甘酸っぱい苺の風味と、練乳のコクが口いっぱいに広がる。
「……甘すぎんだろ、これ」
「それがいいんじゃないか。次は中也の頂戴」
太宰は当然のように、自分のスプーンを中也の器へと伸ばした。抹茶と粒あんが綺麗に乗った部分を器用にすくい取り、自分の口へと運ぶ。
「ん、美味しい。苦味が効いてて、中也みたいにひねくれた味だ」
「一言余計だ、手前。大体、人のスプーンを勝手に使うな」
「いいじゃない。私たち、もっとすごいこと何度もしてる仲だし?」
太宰がクスリと妖艶に笑う。その表情は、ポートマフィアの最年少幹部だった頃の冷徹な少年ではなく、完全に恋する女のそれだった。二十二歳になり、身体のラインも丸みを帯び、声のトーンもどこか艶を帯びている。中也はその姿を見るたびに、胸の奥が騒がしくなるのを止められなかった。
二人はそれから、黙々とかき氷を食べ進めた。
ふわふわの氷は心地よく身体を冷やし、外の暑さを忘れさせてくれる。
「あ、痛っ……!」
突然、太宰がスプーンを落とし、両手でこめかみを押さえて悶絶し始めた。眉を八の字にして、涙目でうめいている。
「ほら見ろ、急いで食うからだ。頭キーンってなってんだろ」
「うう……痛い、脳みそが割れる……。中也、助けて、死んじゃう……」
「かき氷で死ぬかよ。大袈裟なんだよお前は」
中也は呆れながらも、自分の冷たいお冷のグラスを太宰の額に優しく押し当ててやった。
「ひゃっ! 冷たっ!」
「こっちの方が早く治るだろ。じっとしてろ」
「……あ、本当だ。ちょっと和らいだ。中也、優しいねえ」
太宰はグラスを押し当てられたまま、嬉しそうに目を細めた。そして、中也の空いている方の手を、テーブルの上でそっと握りしめた。
中也の手は、冷たいスプーンを持っていたせいでひんやりとしていた。太宰の手は、先ほどまで悶絶していたせいで少し熱い。二人の体温が、手のひらを通じて混ざり合っていく。
「中也」
「あ?」
「夏が終わったら、何しようか」
太宰が唐突にそんなことを呟いた。
普段なら、明日の生死すら分からない世界の住人だ。それなのに、太宰の口から出たのは、少し先の未来の話だった。
「知るかよ。お前は探偵社の仕事して、俺はマフィアの仕事すんだろ」
「そういう現実的な話じゃなくて。……また、どっか行こうよ。今度は夜、涼しくなってから、海でも見にさ」
中也は少し驚いたように目を見開いた。それから、握られた太宰の手を、少しだけ強く握り返した。「……お前が寝坊しねえなら、付き合ってやらんこともない」
「約束ね。破ったら、中也の帽子全部ピンク色に染めちゃうから」
「殺すぞ」
いつもの軽口。けれど、二人の間にある空気は、どこまでも甘く、満ち足りていた。
冷房の効いた店内で、二人の短い夏の逢瀬は、ゆっくりと、けれど確かに溶けていく氷のように、甘やかな時間を刻んでいた。
百合に挟まる男はみんな死ねばいい・・・(血涙)
薔薇に挟まる女もみんな死ねばいい・・・(吐血)
(↑この間百合の間に男が入って3P始める漫画読んじゃった阿呆)
コメント
8件
えっへへへへへなんかWi-Fi復旧してから見て見たらなんかっへへへへへへてか太宰さん可愛いなぁいちごミルクって。乙女かよ。乙女だった…。ちゅやーんは大人ですねぇ…。抹茶大好き。 あとの二話は明日と明後日の糧に……
かき氷デート素敵すぎ!! 太宰さん♀が、甘いいちごミルク味って可愛すぎる 中也♀は対照的に苦味のある抹茶を選んでるのが、2人の好みが真逆なの表してて好き!! 作品とは関係ないけど、私も1度で良いからフワフワかき氷食べてみたい!! 抹茶に白玉とか最高の組み合わせ! たまに、🍠味のとか色んなの見るので食べてみたいです!!
ああ、もう、このエピソード、すごく良かったです……! 猛暑のファミレスで並んでかき氷を食べる、ただそれだけの時間なのに、二人の間に流れる空気が甘くて切なくて。 特に、テーブルの下で太宰が裸足で中也の足首を小突く仕草とか、中也が観念してスプーンを咥えるところとか、そういう細かい距離感の描き方が好きでした。かき氷で頭キーンになる太宰を、中也が呆れつつお冷のグラスを額に当ててあげる優しさにじんわりしました。 夏が終わったら海に行こうって、未来の話をするのも、この世界で生きる二人らしくて、胸がぎゅっとなりました。素敵な時間をありがとうございます🍧