テラーノベル
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#溺愛
王室用の馬車の中は、静まり返っていた。車輪の音だけが、やけに大きく響く。
窓の外には、夕焼けに赤く染まるウィステリア伯爵領の風景が流れていく。
(……また、って何よ)
さっきの言葉が、頭から離れない。
――また失うかと思った。
まるで、一度本当に失ったことがあるみたいな言い方だった。
ちらりと向かいを見る。アレクは、いつも通り無表情で窓の外を見ていた。
「……どうして分かったの?」
気づけば、言葉がこぼれていた。
「私の居場所」
空気が、ぴたりと止まる。
向かいに座るレオンは窓の外へ視線を逸らし、隣に座るフローラがぎゅっと唇を噛みしめる。そして、レオンの隣に座るアレクは――何も言わなかった。
(……やっぱり、何かあるのね)
「偶然にしては、早すぎるわよね?」
私はゆっくりと息を吐き、畳みかける。
「教えて。どうやって、私を見つけたの?」
フローラが顔を上げた。
「それは……!」
「黙れ、フローラ」
アレクが遮る。しかし、フローラは退かなかった。
「無理です! お姉さまに隠し事なんて、私には耐えられません!」
はっきりと言い切った。
「お姉さま……この人、禁忌魔法を使ったんです!」
「……は?」
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