テラーノベル
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目を閉じようが開けていようが思い出すのはざっくりとした小鳥の姿だ。
そもそもそんな複雑な形はしていなかったはず。
なのに何故はっきり思い出せないのか。
(大切な小鳥なのに。人の記憶とはこんな曖昧ものなのだろうか…。)
もちろんポーチを出しておくのはなんら問題ない。
でもキーホルダー現物を弦さんに見られてはならないのだ。
どうしてもどうカンニング出来るかを考えてしまう。
(もういいや、鳥を描いている事は伝わっているわけだし兎に角一対にして向い合わせた2羽を描けばいいや。)
他の動物より鳥なんて2本足で羽とクチバシをつければ簡単なもんだ。
そう思いながらまぁなんとか描き上げた。
(あれ⁈なんか見たことのある鳥だな…。)
そうそれは教科書でみたことがある象形文字の鳥だった。
(これ、絵じゃないな…かと言って文字でもなく象形文字という表現がピッタリだ。)
ちょっと面白くて半笑いになってはいたが、あまりにも酷い絵に自分でもかなり予想を上回る‘デキ’だった。
まさに象形文字の鳥に目立つクチバシが付いている感じだ。
これでは弦さんに気付いてもらえるとかいう問題ではなく子供達に笑われて恥をかくこと間違いなしだ。恥は恥でも赤っ恥である。
誰かこの絵に水でもこぼしてくれないかな…。
またそんなことを考えていると時が来た。
「では皆んな出来たようなので1人ずつ見せてもらおうかな。」
「上手く描けたよ!」
「私は色失敗しちゃったよ…」など感想が飛び交う中、私は一番後ろの席なため幸いまだ子供達には誰にも見られていなかったので まだ乾いていない絵の具を気にしながらとりあえず画用紙を裏返しにした。
そしてどうにでもなれ!の心境で自分の順番を待つ。
ピカソなんかも上手く描ける上でキュビズムの作品を作り上げている。
私もそんな様な事にしよう。
まったくもって世界の大巨匠を軽く見過ぎだ。
私らしからぬ全力ポジティブ発動。
「お姉さんの絵楽しみ〜」という声が聞こえてくる中、苦笑いをしながら(ある意味楽しみだから期待してくれ)と心の中で腹を括った。
さぁ本戦の始まりである。
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コメント
1件
あおいです🌷 「象形文字の鳥」、めちゃくちゃツボでした(笑)。描いた本人が半笑いになる“デキ”、わかります。私も似たような経験があるので、恥ずかしさと笑いが混ざるあの感じ、共感しっぱなしです。最後の「本戦の始まり」で巻き返そうとする姿が愛おしい…!次、どうなるのか気になります💭