降谷side
今日はバーボンとしての仕事だ。ほぼ同時期にネームドになったライと、スコッチことヒロと3人で、マイアミと呼ばれる幹部のセーフハウスに案内された。マイアミは組織随一の頭脳を持ち、卓越した情報収集能力を持つ。マイアミからの情報と言うだけで、相手からの信頼を得ることの出来るくらい名の知れた人物だ。それから、狙った獲物は絶対に逃さない暗殺能力の高さ。殺し方は多種多様。ノックは必ずマイアミに殺されるという。それらのことから、情報屋のマイアミ、掃除屋のマイアミと恐れられている。さあ、どんな人物なのか、ご対面と行こうじゃないか。
「ここよ」
セーフハウスまではベルモットが案内してくれた。
ピンポーン
ベルモットがインターホンを鳴らす。
「はあ…まさかあの子…」
ベルモットは慣れた手つきで鍵を開け、僕らに続くよう案内する。
「マイアミ。来たわよ」
…
「マイアミ」
…
人の気配は無い。だだっ広い部屋だ。
「全く、この子ったら…」
ベルモットが足を向けたソファに、毛布の山がひとつ。剥ぐとそこに居たのは見知った白髪の女性だった。
「マイアミ…マイアミ!起きなさい」
「んん…クリス…?何用?」
僕は果たして、バーボンとしての仮面を被れていただろうか。
「何用じゃないわよ。今日、新入りを紹介するって言ったでしょ?」
「ああ、そっか今日か」
だるそうに顔を上げた一人の女性は、セリだった。
芹那side
そう言えば今日は新入りネームドとの面会日だったなあ。ま、全員知ってはいるけれど。組織内では初めましてだ。へまだされないようにしないとな。
「おはよう、マイアミ」
「はよー、クリス」
ベルモットと挨拶を交わしたあと、件の3人に目をやる。皆驚いていたがさすが優秀なだけある。動揺は直ぐにしまったようだ。
「あとはよろしくね」
「はあい」
ベルモットが帰っていった。
「さてさて…初めまして。マイアミだよー。よろしくね。私から見て左から、ライ、スコッチ、バーボン、当たってるね?」
「ああ。当っている」
「よろしくな!」
「よろしくお願いします」
ふうん…ライもスコッチもあまりいつもと変わらない。ただ、バーボン。何その敬語キャラ。ウケる笑
「それにしても凄いですねえ」
「なにか?」
「僕らのことを一目見て誰が誰だか当てたんですから」
「舐められたもんだなあ。情報管理は私の得意分野だ。ただ、探り屋バーボン、同じ情報を扱う身としてはちと邪魔。間違って殺したらごめんねー」
「…ええ。殺されないよう尽力します」
「そーしてくれ。そんで、聞いてると思うけど、暫くこの私のセーフハウスでみんなで過ごすから。仲良くしよーねー」
「ふん、馴れ合う気など毛頭ない」
「ライ。力を合わせることも大切ですよ」
「仲良しごっこならお前らでやれ」
「なんだと!」
「まあまあ、バーボン。ライも。仲良くねー」
ライとバーボンは言い合いを始め、それをスコッチが宥める。
へえ。
「噂どーりだねあんたら」
「「噂?」」
「…」
「ライとバーボンはちょーぜつ仲悪いっていう噂笑」
「「…」」
「ふふっ、ま、ゆるゆるとやってこうか」
こうして3人との任務が始まった。ん…?ノックで集まって何してんだ私たち。時を見て情報共有しとくか。