[第2章 新しい生活]
窓から差し込む暖かい光で今日も目覚める。4月のポカポカとした陽気でまだ子は眠かった。隣のドールはまだすやすやと寝息を立てていた。そっとドールの頭を撫でた後、子は入学式のために新しい制服に着替え、髪を整える。朝で気だるいながらもきちっと準備した。
準備が終わった子はドールを起こし、共に朝食を食べる。カチャカチャと音を立て、いつもと変わらない朝を迎える。
さて、そろそろ家を出発する時間。子はドールと一緒に居れなくなることを惜しみながらも家を出た。
「はぁ、憂鬱だ。」
入学式が終わったら速攻で帰ってやる、と心に決める子。新しい生活を始めると同時に心機一転をしようと思ったがやはり無理だった。子にとってドールは精神安定剤になっていた。
頭の中でドールのことを思い浮かべながら自宅から離れた学校に足を踏み入れる。
案内役の先生について行き、無事入学式の会場に入れた。開始まであと数分。隣の人はまだ来ていなかった。入学式から遅刻しかけるとは何事だ、と子は思っていた。すると例の人物は欠伸をしながらやってきた。なんだこいつ。
「よぉ、俺は御影 玲王。入学式から大丈夫かあんた。」
「、凪 誠志郎、、、なにおまえ、うざ」
初手からバチバチとした雰囲気の中、式は始まり校長と学園長よ長ったらしい退屈な演説が開始される。あまりに退屈で凪とかいう奴はは寝ていた。子はそんな様子を見てこいつとは仲良くなれなさそ、と不満げにしていた。
演説が終わり、部活紹介に移る。たくさんの部活が紹介されてる中、隣のヤツは話しかけてきた。
「ねぇ、御影はドール持ってるの?」
「玲王でいいぜ。あぁ、もちろん持ってるさ。世界で1番可愛いやつをな。お前は持ってないのか?」
「お前じゃなくて凪ね。いいな、ドール。親が面倒くさがって買って貰えなかったんだよね。」
「ふーん。可哀想だな。じゃ、今度俺のに合わせてやるよ。」
「まじ?楽しみだな。」
入学式が終わる頃には2人は仲良くなっていた。仲良くできないだとか思っていた子だが、思ったより気があってしまった。同じクラスがいいな、などと話している時、クラスが発表された。 なんと2人は同じクラスだった。
入学したのは総勢約200名、その中で同じクラスになれてびっくりした2人。道が同じなため道中でも話し、仲はより深まった。
自分のクラスに着き色々と渡され、説明される。もうクラスの中ではグループができており、仲良くなるの早くてびっくりした様子の先生を見て、クラス中が笑った。
その日の学校は終わり、子と凪は一緒に帰ることにした。子は早速凪を家に招待した。
思ったよりも大きな家に凪は驚愕した。そして中へ入る。
「お邪魔しマース、」
「邪魔すんなら帰れ〜。」
そんな会話をしているとトテトテと足音が響いてきた。子の執事に髪を結われ、ツインテールになっていたドール。それに加え一生懸命走ってる姿を見た子は鼻血を出してしまった。
「ヴッ、」
変な声を出して悶えている。そんな様子をみて凪は酷くひいていた。しかし凪もドールのことを可愛いと感じたので「おいで」と優しく声をかける。
ドールは少し躊躇いながらも凪に抱きつく。
「、、、玲王、こいつ可愛いね、俺が貰っていい?」
「いい訳ないだろ、殴るぞ。」
「怖、」
しかし意外にもドールはすんなり凪に懐いてしまい子はガーン、と言う効果音でも出ているのかと言うほどすごい表情をしていた。
「よいち、俺の事の方が好きだよな、?」
心配になってしまった子はそう問いかける。
「もち、ろん!」
ドールはそうやって笑顔で答える。
やはり子は鼻血を出してしまった。再度凪は子に対して引いたような態度をとる。
ドールはいつにも増して楽しそうな子を見て少し凪に取られてしまった感を無意識に感じてしまったが、子が楽しいなら、と笑って対応した。
「てかこの子喋れるんだ、ドールが喋るなんて聞いたことないけど。 」
「よいちは特別だからな!」
「ねぇ、やっぱよいち俺にちょーだいよ。」
「無理だっつってんだろ。」
「ごめんじゃん」
わいわいとしている子の部屋。いつもと違い3人目の声が聞こえていた。その日は、普段よりもずーっと長い時間、楽しげな話し声が響いていたそう。
コメント
1件
そりゃ凪さんもよいちさんにメロメロになりますよね😫😫玲王さんの溺愛具合大好きです