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第2話:『ようこそ、幻想郷へ』-–
「……うぅん……」
ゆっくりとまぶたを開けると、れゆの視界には見知らぬ空が広がっていた。
澄んだ青、鳥のさえずり。
けれど、どこか現実とは違う“静けさ”が漂っていた。
「……れゆちゃん! れゆ、無事!?よかったぁ……!」
駆け寄ってきたのは、そあだった。
目に涙を浮かべて、れゆをぎゅっと抱きしめる。
「そあお姉ちゃん……れゆ、どこにいるの……?」
「……ここは、幻想郷」
落ち着いた声で答えたのは、月彩。
周囲を見渡せば、全員が無事にそこにいた。
神社の境内。見上げれば、赤い鳥居がそびえる。
「異世界……だよね、ここ」
みりぃがぽつりとつぶやく。
「……っていうかさ」
突然、ぴょんっと一人の少女が現れた。
巫女服姿の少女――博麗霊夢。
「アンタたち、どこから来たの?」
「ん? 地球の部室から!」
「……地球? また変なの来たわね……」
霊夢は呆れたようにため息をつき、
「博麗神社へようこそ」と言った。
「ここはね、“幻想郷”っていうの。普通の人間が来られる場所じゃないのよ」
「じゃあ……れゆたちは、どうしてここに?」
「さあね? でも“あの人”に話を聞けば、何かわかるかも」
そう言った霊夢が視線を向けた先には――
紫の傘を差しながら現れる一人の女性の姿。
「うふふ。ようこそ、幻想郷へ」
その美しい声が、風に乗って響く。
「……あなたが、私たちをここに……?」
つゆが問いかけると、紫は微笑んだ。
「境界は、時に気まぐれで。あなたたちの**“力”**が干渉してしまったのかもしれないわね」
「力……って、れゆの能力?」
「そう。全てを使える――それは、幻想すら揺るがす可能性を秘めている」
紫の言葉に、皆が沈黙した。
「でも安心して。あなたたちが危険な存在だなんて思っていないわ。幻想郷は、そういう者を受け入れる場所よ」
「じゃあ……帰れるの?」
れゆが聞く。
紫は目を伏せて、ゆっくり答えた。
「今は、難しい。境界が不安定なの。少し、こちらで過ごしてみてはどうかしら?」
「……!」
「幻想郷には面白い人たちがたくさんいるわ。あなたたちのような、特別な力を持つ者にとってもね」
れゆは、そっと手を握る。
隣には、いつもの仲間たちがいる。
「……うん! みんながいれば、大丈夫!」
皆が顔を見合わせ、そして――笑った。
こうして、ZSL組の幻想郷生活が始まった。
だけど、この出会いは、やがて――
幻想郷全体を揺るがす大きな異変へと繋がっていくことになる。
――つづく。
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