コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
また僕はここへ来てしまったのか。
暗い、暗い、蝋燭一本ほどの光もない空間。そこにいつもきまっているのは、幼い頃の僕と彼。
彼はとても魅力的な人なんだ。この暗い空間の中で、唯一明るく見える彼の金髪は、僕の目を持っていってしまいそうな程に引き込む。顔はいつも暗くてよく見えない。けど、僕は彼の美しさを知っている。気がするんだ。いつの記憶なのかはさっぱりだけど、彼を前にすると脳裏に浮かぶこの美しい男の人の姿は、きっと彼に違いない。覚えてるんだ。
この記憶が正しいものか確認したい。それと、純粋に彼のことをもっと知りたい。
が、ここは暗すぎる。僕は、この暗くて静かな空間が落ち着けて好きだけど、彼の姿をよく見れないという点は惜しい。
それともう一つ、僕だけが知っている彼の魅力….とは言えないけど、秘密、がある。
それは、彼はとても泣き虫だということ。何があったのか、彼に今何が起きているのか分からないけれど、僕達がこの空間で出会う時、彼はいつも必ず泣いているんだ。ジョナサンという誰かの名を、繰り返し呼びながら。
涙を見なくてもわかる。彼の寂しそうな背中を見ればわかる。
そんな彼を見ていると気持ちが溢れて止まらなくなる。自分では制御できない。
”ジョナサンって誰だい?なぜその人の名を呼び続けるの?
君が泣いているのを見ると僕も悲しくなってくる。泣かないで、こっちにおいでよ。
僕が君を助けてあげたい。”
*彼からの返事が返ってくることはない。分かっていても、一方的だとしても、僕は呼びかけるのをやめない*。そして彼は僕のことなどお構いなしに、僕に背を向けたまま歩き出す。どんどんと離れていく彼の背中を追いかけようと、足を前に前にと出すが、まるで池にはまってしまったかのように足が重くなり体が沈んでいく。頭のてっぺんまで沈んでしまったその時、
目が覚める。