TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

彼女の悲鳴を聞いて、まっさきに駆けつけたのは、部屋のすぐ外にいたハルカだった。

ハルカはとても驚いた様子で、私とアイラちゃんを交互に見つめる。


「どっ、どうしたの?!すごい悲鳴だったけど…。」


ハルカがそう問いかけると、私が弁解する暇もなく、アイラちゃんがこう言った。


「酷いの…!ヒスイったら、私は引っ込んでろって言うのよ!自分の立場を奪われたくないから!私のこと殴ろうとしたの!」


彼女の口がら飛び出す、空言の数々。

慌てて私はハルカに訴えかける。

ハルカは私の方を見ようともせず、ただ俯いている。

「違う!ハルカ、聞いて…私そんなことしてないの…アイラちゃんはきっと混乱してて…」


「…ハルカ?」


私が話し始めた頃からずっと俯いていて、何も言わない彼の顔をそっと覗き込む。

ハルカの目に光は宿っていなくて、ただ暗くて濁った水色が、わなわなと震えていた。


「ねぇ、ハルカ…大丈夫?」


肩を叩いて、ハルカに呼びかける。

すると彼はようやく反応を示した。


「へ…?あぁ、うん。大丈夫だよ。

ちょっと、ぼーっとしてただけ」

「そっか、なら良かった…。」


ハルカはきょとんとした顔で私に尋ねる。


「それで…なんの話だっけ?」


私は何も言えずに、アイラちゃんの方を見つめる。

アイラちゃんは、相変わらずの目つきでこちらを見つめた後、少し残念そうな顔をしてこう言った。


「…なんでもないわ。少し、混乱してたみたい。」

「そ、そっか…。なら、良かった…」


思わず安堵の笑みがこぼれる。


そんな私達の様子に、ハルカは頭に疑問符を浮かべ、首を傾げるのであった。


大丈夫、少し混乱してただけだよね。

大丈夫、きっと、大丈夫だから。


そう言い聞かせて、私はハルカの家を後にした。

Re:主人公は愛されたい

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

45

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚