「松永のことは」
本当、 佐伯(さえき)の考えていることはわからない。
(そりゃ、オレンジジュースのほうがよかったのかもしれないけど)
こんなことなら、なにが飲みたいか最初に聞いておけばよかった。
諦めて向かいの海に目を移した時、鞄の中でスマホが震えた。
佐伯さんに迷惑かけないでね
(もう、お母さんったら)
お母さんからのメールに、「かけないよ」と心の中で呟く。
その時、佐伯がふいに尋ねた。
「あんた、そんなのつけてたっけ」
彼の視線は私の手に集まっている。
スマホカバーのことだと気付いた私は、「あぁ」と柄を表に向けた。
「これね、昨日 侑(ゆう)が―――」
言いかけてすぐ言葉が途切れた。
頭に侑が浮かんで、途端になにも言えなくなる。
「…… 松永(まつなが)が?」
続きを 促(うなが)され、私はさらに言葉に詰まった。
侑*****************************
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