「邪魔するなよ」
土曜日ともあり、ショッピングモールのメインストリートは賑わっていた。
人通りが多く、気をつけていないとだれかにぶつかりそうになる。
でも人の多さより、私の意識は 佐伯(さえき)に掴まれた右手に集中していた。
「ねぇ、あの……!」
「そう言えば、いつか聞こうと思ってたんだけど」
「手を離して」と言いかけた時、先に口を開いたのは彼だった。
「え?」
「生徒会長には立候補だったって聞いたけど。 雑用ばかりで面倒なのに、なんでなろうとしたの。 内申でもあげたかった?」
前を向いたままの彼に変化はなく、 他意(たい)はないように思える。
だけどまさかそんなことを聞かれると思わず、私は佐伯の横顔を見上げた。
(ヒカルくん……)
私が生徒会長になった理由はひとつ。
いつかヒカルくんに会いたくて、その時立派だと認めてもらえる人になっていたかった。***************************
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