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次の日の朝。
私は、まだほんのり眠たい頭を抱えながら登校していた。
昨日のこと——
「月のミルク屋」も、ユルくんも、全部夢だったんじゃないかって思うくらい、現実味がなかった。
でも。
「……まだある」
手首をそっと持ち上げると、そこには淡く光る 銀色の粉がかすかに残っていた。
消えない。夢じゃない。
胸が少しだけ高鳴る。
「……また、会えるのかな」
そんなことを思いながら校門の前を通りかけた瞬間——
ふわり、と冷たい風が頬を撫でた。
風の方向を向くと、そこに“見覚えのある白い髪”が揺れていた。
「……え?」
校門の横、木陰に立っていたのは——
「おはよう」
ユルくんだった。
昨日より少しだけ色の濃い、薄紫の瞳。
朝の光の中で、どこか透明に見えるその姿。
「ゆ、ユルくん!?なんでここに——」
「君の願いを聞いたから。
だから、君の声が届くところまで来たんだよ」
さらっと言うその言葉に、心臓が跳ねる。
「声が……届くところ?」
「うん。ぼくはね——“望まれた場所”にだけ行けるんだ」
聞き慣れない言葉。
でも、その意味を考えるより先に、胸がきゅっと温かくなった。
私が、会いたいと思ったから?
だからユルくんはここに……?
「ねぇ。今日は学校に行くんだよね?」
「う、うん」
「じゃあ——終わるまで待ってる」
「えっ、待つの!?ここで!?」
「うん。昨日、君は少し疲れてた。
……帰りに、また話せたらいいなって」
ユルくんは、ふわりと微笑んだ。
その笑顔は、昨日よりずっと柔らかい。
「……っ、うん!絶対、また来る!」
そう答えた瞬間——
ユルくんの姿が、淡い光に溶けるみたいに ふっ と揺らいで消えた。
「……え?……いなくなった?」
けれど、ユルくんがいた場所には、きらきらと銀色の欠片が落ちていた。
その光を見つめながら、私は胸の奥でひっそり思う。
ユルくんは、本当はどういう存在なんだろう?
そして……どうして私の前だけ、あんなふうに微笑むんだろう。
答えはまだわからない。
でも、放課後が待ち遠しいなんて、久しぶりだった。