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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
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静まり返った。
旧校舎。
廊下の奥。
そこに立っていた人物を見て。
玲は。
言葉を失っていた。
「……なんで」
その人物は。
何も言わない。
「……なんで、あなたが」
玲の声が震える。
星羅も。
その顔を見つめていた。
「……知ってる人?」
玲の問いに。
星羅はゆっくり頷く。
「……うん」
その人物は。
二人のことを見て。
静かに笑った。
「久しぶりね」
女性だった。
玲も。
星羅も。
よく知っている。
学校の教師。
――佐伯先生。
「……先生」
玲が呟く。
佐伯は。
ゆっくり歩いてくる。
「大きくなったわね」
「……」
「二人とも」
玲の表情が険しくなる。
「先生は」
「……」
「七年前のあの日」
佐伯の足が止まる。
「……知ってるんですか?」
「ええ」
「俺たちが何を見たのかも?」
「ええ」
「記憶を消したことも?」
「……ええ」
玲は。
拳を握る。
「じゃあ」
声が震える。
「どうして何も言わなかったんですか」
佐伯は。
少し悲しそうに笑う。
「あなたたちを守るためよ」
「またそれか」
玲の声が。
初めて怒りを含んだ。
「守るためって言えば」
「……」
「何でも許されるんですか?」
佐伯は答えない。
その横で。
星羅が一歩前に出る。
「私からも聞きたいです」
「星羅……」
「七年間」
星羅は。
佐伯を見つめる。
「私たちは何も知らなかった」
「……」
「玲くんも」
「……」
「私も」
星羅の手が。
玲の手を探す。
そして。
ぎゅっと握る。
「何度も理由も分からない不安に襲われた」
「……」
「夢を見るたびに」
星羅は。
少し震える。
「暗い場所が怖かった」
佐伯の表情が変わる。
「……そう」
「なのに」
星羅は。
真っ直ぐ見る。
「何も教えてくれなかった」
「……ごめんなさい」
「謝ってほしいんじゃありません」
星羅の声は。
静かだった。
「知りたいんです」
「……」
「全部」
佐伯は。
長い沈黙の後。
「……分かった」
そう言った。
「話すわ」
――七年前。
2017年12月24日。
イベント会場。
その日は。
大勢の人で賑わっていた。
当時。
玲と星羅は。
まだ幼かった。
二人は。
それぞれの親に連れられて。
同じイベントへ来ていた。
そして。
そこで初めて。
言葉を交わした。
『こんにちは』
『……こんにちは』
『一人?』
『うん』
『じゃあ、一緒にいよう』
幼い星羅が。
笑った。
玲も。
小さく頷いた。
二人は。
その日ずっと一緒だった。
――しかし。
夕方。
突然。
照明が落ちた。
停電。
会場は。
一瞬で混乱した。
その隙に。
一人の男が。
舞台裏へ入った。
「……」
佐伯は。
その当時のことを話し続ける。
「私は会場スタッフとして手伝っていた」
「……」
「その男を見つけたの」
「誰ですか?」
玲が聞く。
「名前は分からない」
「……」
「ただ」
佐伯は。
目を伏せる。
「あなたたちを探していた」
「……!」
星羅の手に。
力が入る。
「私たちを?」
「ええ」
「なぜ?」
「分からない」
「……」
佐伯は。
ゆっくり首を振る。
「でも」
「……」
「男はあなたたちを見つけた」
幼い玲と星羅。
暗い会場の片隅。
そこで。
玲は星羅の手を握っていた。
『大丈夫』
『……怖い』
『俺がいる』
『……うん』
その二人に。
男が近づいた。
『その子を渡せ』
幼い玲は。
首を振った。
『嫌だ』
『玲!』
星羅の母親が叫ぶ。
しかし。
男は近づく。
その瞬間。
佐伯が。
二人の前に立った。
「……」
玲は。
その記憶を聞きながら。
息を呑んでいた。
「先生が」
「ええ」
「俺たちを守った?」
「そう」
佐伯は頷く。
「でも」
「……」
「問題はその後だった」
男が。
逃げた。
しかし。
その場に。
小さな装置を落としていた。
「それが」
佐伯は言う。
「あなたたちが見てはいけなかったもの」
「……装置?」
「ええ」
星羅が尋ねる。
「何の装置ですか?」
「当時は分からなかった」
「……」
「でも後から分かった」
佐伯の声が。
低くなる。
「それは」
少し間を置いて。
「あなたたちを追跡するための装置だった」
「……!」
玲が。
息を呑む。
「じゃあ」
「……」
「俺たちは」
「ずっと」
佐伯は。
静かに言った。
「誰かに追われていた」
「……」
星羅は。
何も言えなかった。
その瞬間。
玲の頭に。
別の記憶が浮かぶ。
――配信。
――暗い部屋。
――一人で泣いていた自分。
そして。
画面の向こう。
『大丈夫だよ』
星羅の声。
――VTuberとして。
玲を救った声。
「……」
玲は。
星羅を見る。
「星羅」
「ん?」
「俺」
「……」
「やっぱり」
玲は。
小さく笑う。
「お前に出会えてよかった」
「……!」
星羅の目に。
涙が浮かぶ。
「……私も」
その瞬間。
佐伯が。
二人を見て。
微笑んだ。
「だから」
「……?」
「私はずっと安心していた」
「何が?」
「二人なら」
佐伯は。
静かに言う。
「また出会うと思っていたから」
「……」
玲が驚く。
「また?」
「ええ」
「俺たちは」
「七年前だけじゃない」
佐伯は。
一枚の写真を取り出した。
そこには。
幼い玲。
幼い星羅。
そして。
現在の二人。
「……」
「あなたたちは」
佐伯が言う。
「何度も偶然を装って出会っている」
「……!」
星羅が。
写真を見る。
「これ……」
「あなたたちが同じ場所にいた記録よ」
「誰が?」
玲が尋ねる。
「それを調べていたのが」
佐伯は。
後ろを見る。
そこには。
美咲。
「……私」
美咲が。
ゆっくり口を開く。
「私が調べてた」
「美咲?」
「七年前」
美咲は。
少し笑う。
「私も会場にいたの」
「……」
「そして」
玲を見る。
「あなたを見た」
「俺を?」
「うん」
美咲は。
星羅を見る。
「星羅ちゃんも」
「……」
「二人が手を繋いでいるのを見た」
「……」
「だから」
美咲は。
小さく笑った。
「ずっと気になってた」
しかし。
次の瞬間。
佐伯の顔が険しくなる。
「ただ」
「……?」
「一つだけ」
玲を見る。
「まだ話していないことがある」
「何ですか?」
「あなたたちを狙っていた人物」
「……」
「実は」
佐伯は。
静かに言った。
「一度だけではない」
「……え?」
「七年前だけじゃない」
星羅の顔が。
青ざめる。
「じゃあ」
「……」
「今も?」
「ええ」
佐伯は頷く。
「今も」
その瞬間。
スマホが鳴った。
玲。
星羅。
美咲。
全員のスマホが。
同時に。
「……!」
一件の通知。
『見つけた』
『やっと見つけた』
そして。
『今度こそ、逃がさない』
星羅の表情が。
変わる。
恐怖ではない。
怒りだった。
「……玲くん」
「ん?」
「大丈夫」
星羅は。
玲の前に立つ。
「私がいるから」
「……星羅」
「七年前は」
拳を握る。
「玲くんが私を守ってくれた」
「……」
「だから今度は」
星羅は。
静かに笑った。
「私が玲くんを守る」
その瞳には。
今まで以上の。
強い狂愛が宿っていた。
「誰にも」
「……」
「玲くんを渡さない」
――文化祭の夜。
二人の過去は。
ようやく。
現在へと繋がった。
コメント
1件
え、ちょっと待って待って待って!! 第47話、情報量やばすぎるんだけど!?!?😳💕 七年前のイベント会場、玲と星羅ちゃんが子供の頃に出会ってたっていうのがもう…運命すぎて泣ける😭✨ しかも佐伯先生がずっと見守ってて、追跡装置の話とか、美咲ちゃんもその場にいたっていうリンクが美しすぎる…!! 最後の「見つけた」「逃がさない」って通知、めっちゃ不気味で怖いのに、星羅ちゃんが「今度は私が玲くんを守る」って言ったシーン、狂愛の光る目がヤバすぎて鳥肌立ったよ…!! 続きが気になって夜しか眠れないんだけど!!🌸