注意
少しニッチよりの歴史書の一文を悪質切り取り拡大解釈して付けられた🇫🇷さんの闇設定を形にした🇬🇧🇫🇷(🇬🇧さん視点)小説です。
実在するなんやかんやとは概ね一切関係ありません。
闇設定とは言いつつ🇬🇧🇫🇷がイチャラブしているだけなので深く考えなくていいと思います。
水色の空に少しばかりの白く輝く綿を散らした様な快晴の午後3時、私は素敵な隣人と共に快晴のもとでティータイムを楽しんでいる。
そんな素敵で穏やかな最中、ふと私は昔から気になっていた事を聞いてみる事にした。
「そういえばフランス、私あなたにずっと聞きたい事があったんです。」
「あら、何かしら?」
「えぇ、その、、、あなたは革命と共に生まれた様なものなのに、どうしてそれ以前の事をまるで見てきた様な鮮明な記憶と共に語るのでしょう?昔から少し引っかかっていたんです。」
そう聞くと、途端に彼女の表情が強張った後、熟考するような表情に切り替わった。どうやら、あまり触れては行けない部分だったらしい。
「、、、本当に知りたいの?」
「えぇ、まぁ、気になるので。、、、無理に話せとは言いませんが。」
「そう、、、まぁいいわ、教えてあげる。」
本来であれば紳士として遠慮するべきところではあったが、私は好奇心に負けてしまった。
これが穏やかな一時に終わりをもたらすとは、私は思いもしなかったのである。
「少し長くなるわよ、、、」
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どれだけ大きな物事も、そのきっかけは大抵些細な物事から始まるものである。30年戦争然り、100年戦争然り。
それはこの世の理とすら言っても良いかもしれない。
私が生まれるきっかけとなった革命も、きっかけはたった一つのネックレス。
一つのネックレスから生まれた悪評が起爆剤となって、革命の火蓋が、それどころか王家の首すらもが切り落とされた。
、、、まぁ、それは今の話にはあまり関係無いけれども。
私という存在の大元が生まれたのは、革命よりもずっと前。
大体17世紀頃だったかしら。この辺りの記憶は不安定で大分朧げだけれど、当時はまだ神聖ローマ帝国が存続していた事は憶えている。
憶えている中で1番古い記憶は、、、ひたすら暑くて、焦げ臭くて、身体中が痛かったのか悲鳴をあげていた気がするわ。
多分、燃やされていたんでしょうね。
その後の記憶は、、、水の中に居て苦しかったり、火の中に居て苦しかったり、、、ふとした瞬間に途切れては別の光景を見ていた気がするわ。
まぁ、その記憶自体は私自身のものではない、、、というか、この記憶達は一人のモノじゃない、記憶の集合体なのだけど。そして、その集合体から生まれたのが私。
、、、少し話は逸れるけど、この記憶が何者の集合体かイギリス、あなたはわかる?きっと、いや、絶対、あなたならわかるはずよ!
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なんて、彼女は背筋が凍ってしまいそうな程に涼しい顔をして語り、問うてきた。
、、、何者の記憶の集合体か、わからないと言ってしまうのは簡単だ。だが、恐ろしいことに私には一つだけ心当たりがある。
「、、、魔女狩り、ですか。」
「正解!やっぱりあなたならわかると思ったわ。」
魔女狩り、、、15世紀頃から18世紀にかけて、魔術を使ったとされる女性に行われていた現代から見るとそこそこ、いや、かなり残虐な事象である。つまり、彼女はその犠牲になった人々の思念、怨念の集合体から生まれたというのか。
それはなんというか、、、
「ある意味あなたらしいですね。悲しいぐらいに、、、」
「ふふっそうでしょう?」
昔から彼女は何処か異質だったのだ。今でこそ薄れてきているが、彼女は生まれたときからなんというか、血なまぐさい狂気的な雰囲気を纏っていた。
上手く言葉に出来ないが、そう形容せざるを得ない雰囲気を。
だから今、彼女の生まれを聞いて私は納得してしまったのだ。
「、、やっとわかりましたよ、スイスや当時の大陸の国々とあなたが個人的にも仲が悪かった理由が。皆あなたの生まれを知っていたんですね。私は知りませんでしたが!」
スイスは魔女狩りが始まった地域であるし他の国々でも魔女狩りは行われていた。
そんな中、魔女として処刑していった女性達の記憶から生まれた存在が出てきたら恐ろしいのだろう。私は魔女狩りとはあまり縁が無かったからわからないけれど。
「そう、そういう事なのよ!酷いわよね、私は取って食おうだなんて思ってなかったのに。、、、でもね、私そもそもこの話あなたにしかしてないのよ。」
「おや、そうなんですか?」
「えぇ本当、不思議よねぇ、、、」
確かに不思議だが、わからなくもない。(こうして聞くまでわからなかった私が言うのもアレだが。)
「、、、おそらく、雰囲気で察したのでは?実際当時のあなたはかなり異質な雰囲気を纏っていましたよ。」
「あぁ、なるほどね。やっと長年の疑問が解決したわ!ありがとうイギリス。」
「あなたにそんな素直にお礼を言われると少し気持ち悪いですね、、、まぁ、どういたしまして。」
「ちなみに、どんな雰囲気だったのかしら。自分だとよくわからないのよ。」
あの雰囲気をどう言葉に纏めるべきか悩ましいが、今思いついた中で1番しっくり来るのは、、、
「そうですね、、、ギロチンの擬人化の様な、、、まぁ、そんな感じでした。」
「それなら優しいじゃない。」
「フランス、、、本当あなたの感性って面白いですね。」
流石私の素敵な隣人だ。
「私はあなたの感性の方が面白いと思うわよ?」
「ははっ、それでもあなたには負けますよ。」
「、、、それにしても不思議なものですね。記憶の集合体から国が生まれるだなんて。」
「それは本当にそう。知っている限りじゃこんな記憶を持っているのは私だけみたいだし、、、謎すぎるわ。」
「あぁ、何か調べようとはしなかったので?」
こんなに長く生きていれば少しぐらい調べる時間はありそうなものだが、、、彼女にとってそれは重要では無かったのだろうか。
「えぇ、私あなたと違って忙しかったから。」
「あぁ、そういえば100年前まであなたの家からは轟音やらが定期的に連日連夜響いて来ていましたね。」
「前半半分ぐらいはあなたのせいでしょう?」
「はて?何のことやら。」
身に覚えがありすぎて困ってしまう。
「まぁ良いわ、、、私あなたのそういうところ好きだもの。」
「、、、直すつもりはありませんよ?」
例え嫌いだと言われようがこれが私だ。確かに彼女には嫌なことを話させてしまったとは思うが、、、だからといって自身の性格を変えるつもりは無い。
「あぁ、違うの。そういうのじゃ無くて、本当に好きってことよ。」
「はぁ、、、?フランス、あなた変なものでも食べましたか?カエルとか。」
こうも素直に、明けっ広げに好意を伝えられると少し、、、いや大分困惑してしまう。
しかもその相手が他でもない、フランスだなんて!
まぁ別に私は彼女のことが嫌いな訳では無いし、、、どちらかで言えば好きな方ではあるが、、、
「あはは、変な顔ね。そんなに驚く事かしら?あとカエルはちゃんと調理すれば美味しいわ。」
「えぇ、驚きしかありませんが?」
「そう、、、でもちゃんと理由はあるのよ?」
「はぁ、、、その理由とは?」
「、、、あなたが私に対して対等な個人として接してくれたから、ただそれだけよ。」
「たったそれだけ?」
思った以上に単純明快な理由である。
こんな、短絡的で単純な”たったそれだけ”の事柄だけで好印象を抱かれるだなんて思いもしなかった。
自分で言うのもアレだが、私はあまりヒトに好意を抱かれる様な性格をしていない。故に驚きが凄まじい。
「えぇ、たったそれだけよ。、、、でも、そのたったそれだけの事が当時の私にとっては凄く特別だったの。みーんな私に対して化け物を見るような視線を向ける中、良くも悪くもあなたはただ国として、個人として接してくれた。それがどれだけ幸福だったか!」
「、、、あなたが大分苦労していた事は伝わりました。」
実際に私自身が経験した事では無いから彼女の心境全てを理解する事は出来ないが、どうにも言い難い苦痛があったのだろうなとは思う。
そりゃあ敵対していたとは言えども私が素晴らしいヒトに見える訳だ。
「もう、、、私は良い話をしたつもりなのよ、同情は辞めて。」
「あぁ、あなたは同情が嫌いでしたね。申し訳ありません。」
「えぇ、あなたじゃなかったら殴ってたわ。」
「おやフランス、あなた私以外にこの話をするヒトなんているんですか?」
「、、、居ないわね、やっぱり殴っていいかしら。」
「せめて疑問形にしてくださいね。本当、手が出るのが早いんですよあなたは。」
「あなたもヒトの事言えないでしょう?そのテーブルの下で突き立つ裏ピースは何かしら。」
「あぁ、無意識でした!すいませんね。」
勿論、無意識等ではない。それはきっと彼女のも分かっているだろう。
まぁなんだかんだで200年以上は素敵な隣人同士をしているのだし、伝わらない方が問題な気もしてくる。
「ふふっ本当、そういうところ含めて好きだわ。」
「、、、聞き間違いでしょうか。それかやはりあなたが変なものを食べたか。」
「どっちでも無いわよ。もう、、、そんなに私からの好意が嫌なワケ?」
「別に嫌という訳では、、、ただ少しむず痒いんですよ。」
あぁ、なんだか今の自分の顔を見たら私は酒の飲み過ぎか?なんて言ってしまいそうだ。きっと彼女にもバレているだろう、なんて恥ずかしい事だろうか。
「、、、意外だわ、てっきり懇切丁寧に嫌だと言われると思った。それに、あなたそんな顔もできるのね。」
「そりゃあ私は紳士ですからね、素敵な女性からの好意は無碍にしたくないものです。」
「あら、そう言う割にはずっと変なもの食べただとか、失礼な事を言われた気がするけど?」
「、、、照れ隠しはお嫌いで?」
あぁ、なんだかもう取り繕うのも面倒だ!
どうせどれだけのらりくらりと躱したって会話はここに帰結する。ならばもういっその事早々に諦めてしまう方が良いだろう。
「認めたわね。」
「えぇ、えぇ、認めますとも。」
「そういう潔い所も好きよ!、、、でも本当、意外だわ。あなたが私の事をそういう風に見てくれるなんて思わなかった。」
「逆に、あなた見たいな素敵な女性に惹かれない男なんているんですか?」
もし居るのなら、一度話してみたいものだ。
まぁ本当に居たら私はきっと殴ってしまいそうだし、やはり辞めておこう。
「、、、やっぱりあなたからそんな素直に、面と向かって好意を伝えられると変な気分ね。」
「それはこちらのセリフです。さっきからずっとむず痒い気分が続いて、、、まぁ、これも案外心地良い気もしてきましたが。あなたは?」
「決まってるじゃない、あなたと同じで大分心地よさを感じているわ。」
なんて言う彼女は思いのほか照れているらしく、顔が酒でも飲んだような具合に赤く染まっている。勿論それは私もだが。
「ふふっ、、、ねぇ、フランス。」
「何かしら?」
「我々がここまで同じ気持ちになったのなんて数十年ぶりでしょう。折角です、付き合ってみませんか?」
我ながら締まりの無い告白である。
だがこうして好意の伝え合いだなんて、恋人じみた事をしているとどうにも胸が高鳴って言葉を取り繕えないのだから仕方がないだろう。
あぁ、返事が来るまでのこのコンマ数秒が嫌になる!
「、、、あははっ!仕方ないわね、付き合ってあげるわ。、、、これ、嘘じゃないわよね?」
「嘘なんかじゃありませんよ。ふふっいい返事を頂いたからには悪いようにはしませんよ!」
あぁ、なんて喜ばしいのだろう!まぁ正直いい返事は貰えるだろうと思っていたけれど、やはり本当にいい返事を貰えるのは純粋に嬉しいことだ。
「ならよかった。」
「えぇ。、、、ちなみに、もし嘘だと言ったらどうするんですか?」
これは純粋な好奇心である。
「殺すしかないわね!もう、本当趣味悪いんだから、、、」
「殴るの一歩上を歩んでいますね。趣味が悪いのはまぁ、、、否定はしません。」
国は殺されても直ぐ復活するが、それはそれとして殴るよりも倫理観をかなぐり捨てた選択である。
こういうところが所謂”おもしれー女”だと思う一因だろうか。昔日本から聞いたこの言葉はフランスを良く体現していると思う。
「えぇ、本当にあなたは趣味が悪いわ。だって魔女を好きになってしまうんだもの!」
「えぇ?でも、魔女って素敵じゃ無いですか。ハリー・ポッター的で良いと思います。」
「イギリスに一般的な感性を求めるのが間違いだった見たいね、、、まぁそういうところが好きなんだけど。」
「いや、私はごく一般的な感性の持ち主だと思いますよ?日本とも気が合います。」
だからおかしいのは周りなんだと私は思う事にしている。
「同じ穴の狢ね、、、気が合う対象で最初に出てくるのが日本の時点で一般的な感性とズレてるのよ。」
「それ、あなたも狢である事を認めているのでは?」
「あなたよりは普通だわ。」
これでは堂々巡りだ。ここは一先ず、、、
「、、、我々は一般的な感性を持っている、そういう事にしておきましょう。」
「、、、そうね。」
これで万事解決だ。
「ねぇ、イギリス。」
「なんですか?フランス。」
「あなたはまがりなりにも私に告白して、付き合うことになったのよ。当然、ずっとそれを続ける覚悟はあるんでしょうね?」
何を今更問うのかと思えば、答えは、覚悟は既に決まりきっている。
「当然でしょう?あぁでも、いつか飽きがきて綺麗な月の下で紙切れを渡すことになるかもしれません。」
「それならよかった!私結構執念深いから、無理だなんて言われても手放せる気がしないの。」
「それはこちらも同じ事、これからよろしくお願いしますよ?フランス。」
「えぇ、こちらこそ。世界史が終わるまでずっとよろしくね?イギリス。」
そう言って彼女は珍しく少女的な、可愛らしい微笑みを浮かべた。
コメント
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思ったよりも早く投稿できちゃいました。 以下とっても雑な解説と経緯 19世紀に魔女狩りの研究が行われ始めた頃、とある学者さんによって魔女の正体についてこんな説が唱えられました。 ”魔女とは抑圧された反逆の精神の象徴、革命の女神だったのだ。”と。 そこでアイデアロールを成功させてしまった投稿者は、革命の女神=🇫🇷さん、🇫🇷さん=魔女なのでは?と考えました。 (返信に続く)