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iris stpl 青赤 様
誤字脱字注意
日本語おかしい
同じ会社、同じ年にデビューした歌い手。
同期ってだけなら、別に特別でもなんでもない。
でも、こえは違った。
俺は帰国子女で、グループじゃ兄貴分。
海外帰りで、少し関西弁混じり。歌も仕事も無難にこなして、気づいたら「頼られる側」になってた。
一方でこえは、最年少でリーダー。
可愛くて、泣き虫で、初心で。
なのに立場のせいで、いつも一歩引いてる。
敬語とタメ口が混ざるのも、たぶん癖や。
ちゃんとせな、って思ってる証拠。
「お疲れさまです……あ、いや、お疲れ」
スタジオの廊下で会うたび、そんな感じ。
「どっちかにせえや」
「す、すみません。……じゃなくて、ごめん」
顔赤くして言い直すの、反則やろ。
「今日は収録長かったな」
「ですね。……いや、な。正直、ちょっと疲れた」
敬語からタメ口に戻る瞬間、気ぃ抜けた感じがして好きやった。
こえはいつもそうや。
油断するとタメ口になるのに、すぐ「リーダーやし」って戻る。
「無理すんな」
「……してない、です。たぶん」
語尾だけ敬語残るの、ほんまに。
深夜までレコーディング続いて、終電逃して。
自然に俺の部屋来る流れになった。
「コンビニでええ?」
「助かります。……正直、腹ペコです」
ソファに並んで飯食いながら、どうでもええ話。
空気がゆるんできた頃、こえが黙った。
「……あの」
「ん?」
「僕、ちゃんとリーダーできてますか」
敬語。
こういうときは、必ず。
「できてる」
「でも……皆に迷惑かけてる気もして」
膝の上で指絡めて、視線落とす。
「最年少なのに、リーダーで。正直、怖いです」
その声、震えてた。
俺は黙って、こえの肩を抱いた。
「ちょ……」
「ええから」
一瞬抵抗してから、力抜ける。
「ここでは、敬語使わんでええ」
「……それ、ずるい」
タメ口になってる自覚ないまま、そう言う。
背中撫でると、こえの呼吸が乱れた。
泣き止んだあとも、離れへん。
顔上げたら、すぐ目が合った。
近い。
近すぎる。
「……嫌なら、言ってください」
「敬語やん」
「……言え、って言ったじゃないですか」
困った顔で、でも逃げへん。
そっと唇を重ねた。
一瞬びくっとして、でも目を閉じる。
「……慣れてない、ので」
「知ってる。ゆっくりな」
何回も軽くキスして、深くしすぎへんように。
「……優しすぎ」
「泣かしたくないし」
そのままベッドに移動した。
服脱がすのも、ひとつずつ。
「これ、脱がすで」
「……はい」
返事は敬語、声は小さい。
キスして、首、耳元。
背中撫でると、ぴくっと反応する。
「……そんなとこ、触られると」
「どうなる?」
「……変になります」
恥ずかしそうに言うの、たまらん。
ちゃんと時間かけて、触れて、確かめて。
怖がってないか、何回も聞く。
「……大丈夫、です。ちょっと怖いけど」
「正直でええ」
こえが俺のシャツを掴んできたとき、胸がぎゅっとなった。
「……離れないで、ください」
「離れへん」
繋がる直前、涙目で見上げてくる。
「……お願いします」
敬語混じりのその一言で、覚悟決まった。
途中でこえが、泣いた。
声抑えながら、必死に耐えてる。
「……ごめんなさい」
「謝るな」
抱きしめて、何回も大丈夫やって言う。
「……安心、します」
「それならええ」
全部終わって、シーツに包まって。
こえを胸に抱く。
「……すごく、恥ずかしいです」
「今さら」
「でも……嫌じゃ、なかった」
そこだけタメ口。
頭撫でると、少しだけ力抜いて寄ってくる。
「……なあ」
「はい?」
「俺の前では、敬語減らそ」
少し考えてから、こえが言う。
「……努力、します。でも、ときどき出ると思う」
「それでええ」
指絡めると、握り返してくる。
「……甘えるの、下手で」
「知ってる。でも今、できてる」
胸に顔埋めてきた。
「……ここ、落ち着く」
その一言で、全部報われた気がした。
違うグループで、同期で、同じ会社。
立場も役割も違う。
でも、こえが一番弱い顔見せる相手が俺なら。
それで十分や。
そう思いながら、もう一回、ぎゅっと抱きしめた。