「あ、……何?」
「氷が溶けて服が濡れてますよ」
言われて初めて、頬を押さえていた手から水がしたたってワンピースがぐっしょり濡れていることに気が付いた。朱虎がハンカチを取り出して、あたしの手と服をぬぐう。それからジャケットを脱ぐと、あたしの肩にかけた。
ふわりと温もりが背中を覆って、煙草の匂いがかすかに香る。
「あったかい……」
ほっ、と息をついたとき、朱虎がさらりと言った。
「自分は組の奴が来るまでここを見張ります。お嬢は先に車で待っていてくれますか」
今黒さんの言葉がオーバーラップした。
「先に駐車場に行って待っていてくれるかな」
すうっと体が冷たくなった。指先が震える。
「今、鍵を……」
「やだ」
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