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優しいライオンと強かなウサギ
事後スタート
軽く呼吸を整えながら、気怠く投げ出された肢体に目を落とす。
「…じんと、大丈夫?しんどくない?」
俺の手で、俺の言葉で、どんどんぐずぐずに堕ちていく君が愛おしくてたまらなくて。お互いに果てた所でようやくハッとして、今更問う。さんざ好き勝手にされた後なのに、 くたびれた姿も綺麗で美しい。…それはもう、ふつふつと不安が湧き上がってくるくらいには。
「……ん、もうへいき」
本当は疲れて眠ってしまいたいくらいのはずなのに、わざわざ投げかけたものにこたえて俺の首に手を回して額を合わせてくれるきみが、愛おしくて、心配で。
近づくとなんか気恥ずかしくて、といつも目をつむってしまう仁人。触っている腕もおでこも全部があたたかいのに、瞳が見えないだけでこんなにも心細くなるなんて。
とっても繊細で、弱くて、守らなきゃいけないのに、どうしても溢れ出す気持ちが止められなくて。いつか壊すんじゃないかって、体を重ねる度に頭の奥でもう一人の自分がやめろ!って叫ぶのを振り払ってしまう。
瞼を親指でそろりと撫でていたら、擽ったそうな息が漏れた。たったそれだけで、胸がきゅっとなった。
本当に、恐ろしくてたまらない。何ひとつとして傷付けたくないのに、どうしても触りたくなってしまう矛盾を抱えている。おれのせいで、なんて。
「じんともかわいそうだね、俺なんかに捕まってさ」
ぼやきながら、柔らかくてちょっと桃色に染まった頬を包む。…あったけ
「…はやと?」
ゆっくりと目が開いて、大きな黒目が俺を捉えると、一瞬きょとんとした顔を作ってから、眉を下げて揶揄うみたいにくしゃっと笑った。
「なあに、不安になっちゃった?」
「……うん」
「そっかぁ」
はは!とやわらかく笑いながら腕を背中の方に回したので、ころんと二人で横になる。
「かわいいね、はやと。」
「なに、なんで。」
ぎゅうっと引き寄せる仁人。かわいいのはそっちでしょ、一番のひっつき虫をしっかり抱きしめ直した。
「あのね、いい?」
ちゅ、っと可愛い音をたてて鎖骨に口付けた仁人が、少し体を反らして目を合わせる。もうちょっと、くっついてなくてもいいの?って言おうとしたけど、自分だけ寂しがってるみたいで悔しいからやめた。ちがうからね
「おまえ、自惚れすぎだから。」
「…はぁ?」
思わぬ角度の返しにポカンとする。
「はやとなんかに、おれが捕まえられるわけないでしょ」
失礼な!もう口ふにゃふにゃのくせに、凄いこと言うやん。 まっすぐ見つめてくる仁人の瞳越しに、眉を顰めてムッとする自分が見えた。
「どうせ弱っちいと思ってるでしょ?そんなへなちょこじゃないよ俺も。 」
自分が息を飲む音が聞こえた。おお、よく分かったな、なんて他人事みたいに思った。
あやすように言葉を続ける。
「わかる?おれってばすんごい欲張りで我儘なの。欲しいと思ったもの、ぜんっぶ手に入れなきゃ気が済まないの知ってるでしょ?」
「だから、おれがはやとに捕まえさせたんだよ。」
ふふん、と自慢気に顔を緩ませるきみが可愛くて、愛しくて、ずっと見ていたいのに、どうしてか視界が歪んで。
「何されたって平気なくらい、全部が大好きなの。」
言葉を切って、鼻先を合わせた。瞼は上がったまま
「…大丈夫だよ、おれ、もうずっと前からはやとしか見えてないみたい。…ね?」
そんな優しい表情されちゃったら、なんにも言えないって。すごいよ、お前。見透かしたみたいに欲しい言葉をくれるから。
一度溢れ出したら止まらなくて、頬を伝ってぼたぼた落ちていく。あらら、後で冷やせばいっか、って言いながら指先が丁寧に涙を拭っていく。
欲張りだって言うけど、それ以上のものを与えていくきみが、眩しくって仕方ない。
「…じんと」
「んー?」
「…もうちょっとだけ、いい?」
「いいよ、もちろん。」
上半身までぴったりつけると、とくとくと落ち着いた心臓の音がする。汗で湿った髪を梳いて、こめかみに唇を落とした。… 冷え切っちゃう前には起きるから、ね。
もう手放してくれないって知ったから。きらめくきみを逃してしまうことがないように、いつもより強めに抱きしめた。
コメント
2件

蛇足(表現できてないかも、の補足) 馬鹿力で物理的に壊すのも怖がってはいるけど、何より体でもメンタルでも、少しでも傷つけて離れていってしまったらどうしよう、と恐れている。 人に寄り添おうと頑張ってる人外みたいなsnさんが好き
うわあ、甘い……でもただ甘いだけじゃなくて、早人の「俺なんかに捕まって」という自己否定と、それに対する仁人の「おれが捕まえさせたんだよ」って返しがすごく効いてますね。弱さを見せた側が、実は相手を掌握している構図……関係性の二面性が丁寧に描かれていて、読んでいてじんわり胸が温かくなりました。続きも読みたいです。
#snjn
キキ

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