テラーノベル
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ふと、草の匂いで目を覚ます。
見上げると蒼く澄み切った空が一面に広がっている。青々とした青葉に囲まれ、暖かい光の中で…
ここは何処だろうか…
ひなげしの花が色とりどりに緑を鮮やかに照らす。春の匂いに囲まれながら、うーんと伸びをする。心地よい朝日に思わず夢うつつでいると、ふと、声がした。
男「姫様、ここに居たんですね?心配しましたよ…」
若い男の声の方へ目をやると、20代前半らしき男が立っていた。眉まである長い黒髪はその燕尾服とよく似合う。彫りの深い整った顔立ちに、思わず声をかける。
みくり「佐倉くん!?」
そう、彼は私の会社の後輩だったのだ。1年半前に会社の事務職に所属した、私の部下だった。
佐倉「春野先輩、おはようございます。いや、これからはエリザベス様ですね。」
みくり「エリザベス?え、どういう事?私、確か車に轢かれて…」
佐倉「僕達は転生したんですよ。先輩は重症だったので、転生した記憶がないんでしょうか…」
みくり「転生?え、どういう事?私転生しちゃったの!?」
佐倉「はい。ベルナール王国に転生して、先輩は今お姫様です。」
みくり「私がお姫様!?…え、じゃあ佐倉くんは?それになんでここに?」
佐倉「俺は先輩が轢かれそうになってるのを偶然見かけて、助けようとしたら一緒に轢かれてしまいました。すいません、助けられませんでした…」
みくり「え、そうだったの!?なんかごめんね、巻き込んじゃって…大丈夫!?…って転生したって事は大丈夫じゃないか…」
佐倉「別にいいですよ。俺は先輩に一生ついて行くって決めてたんで。 」
みくり「佐倉くん…」
佐倉くん…私を助けに来てくれたんだ…
嬉しいな…
暖かい気持ちになりながら思わず目を細めると、つられて佐倉くんも微笑みかけてくれた。
佐倉「では、部屋に戻りましょう。」
みくり「うん!」
そっと彼の手を取る。暖かい春の日差しが、まるで私達を祝福してくれているようで…
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