【熱いため息】
……11時…。
約束の時間を過ぎて1時間経った。
雪も量を増していき、辺りのアスファルトを白く美しく飾っていた。
jp『………帰ったのかな…』
店にはまだいたし、俺が出ていく時もにっこり微笑み返してくれた。きっと来るのだろうと俺も上着を着ず彼を待っていたが…。
…気づけば俺の肩は冷たく、ほんのりと気持ち程度に雪が積もっていた。
jp『……電話…でるかな… 』
彼と連絡先の交換はしたものの、業務用携帯のみ。プライベートな交流はこの場ぐらいしかなかった。かけようかと悩み、また携帯を膝に落とす。サックスも雪が降り積もり、先ほどのように雪を溶かす熱もなくなり冷たくなっている。
jp『………………』
ガンッ!!!!
「おいおい、暴れんなって……」
tt『ッッ離せ!!なんやねん!アンタ!』
店を出た途端、角から聞こえるサックスの音に気を取られ、チンピラに絡まれた。近く1時間この状態だ。jpの演奏を聞く内にすっかり虜になったみたいだ。まんまとハマった自分が恥ずかしい。
「ねぇお兄さん、さっきそこの店から出てきたよね?(笑)」
そう嘲笑混じりに俺が先程出た店を指差す。
tt『ッやったらなんねん!アンタにはなんも… 』
言い返そうとした瞬間、俺より少しデカい手のひらが俺の口を強引に閉ざした。
tt『ッんぐ?!!ん゛〜ッ!!!』
「…はは(笑)お兄さんほんと可愛いね…♡」
だんだんと腰に擦り寄ってくる腕が気持ち悪い。俺が怯える姿が面白いのか、相手の息が耳元で響く。叫びたい。逃げたい。助けてほしい。口元の手を離そうと力を込めるがびくともしない。
「…うさぎさんは可愛く鳴いて」
「捕食されればいいんだよ(笑)」
嫌だ。嫌だ。助けて…。腰に擦り寄っていた手が俺のコートに手をかけた。一つずつボタンを外され、仕事着があらわになる。今日は着替える暇もなかったせいで随分扇情的な格好だ。
「…それじゃ…いただきま~す…(笑)」
tt『ッッ!』
こんな夜番にこんな姿。物好きに襲われても何も文句は言えない。…抱かれるなら好きな人が良かった。
抵抗していた手を、俺は静かに下ろした。
声が響いた。
jp『ッッッッtt!!!!!』
怒声にも近い声色で、彼が来た。
「ッなんだよお前…!ッッ」
tt『ッ……j…jp….』
ぐいッ…!
彼は相手を俺から引き離すと、真っ直ぐ俺を見つめた。雪が積もっていたのか、彼は溶けた雪でびちゃびちゃだった。
jp『ッ…こんなはずじゃ… 』
tt『ッjp…』
jp『ッッッ…』
jp『ッこんなはずじゃ無かった…』
少し強引に、それでも優しく。
彼と俺の唇が重なった。
続く…
↑♡100
コメント
3件
両思いかよ両思いじゃか両思いだな🙃🙃🙃 心の声(よしキッッッッス‼︎!さっさとおっ始めてくれてえてえお方よ
てぇてぇ.ᐟ.ᐟ
ありがとうございます尊いですこの話滅茶苦茶好きなので更新嬉しいです!