──────ノイズ視点──────
「チッ」
不快を知らせるその舌打ちが耳に響く。耳に響く、ということは俺が言った言葉ではない。戦闘訓練の相手である──────ぜんこぱす。そのぜんこぱすが舌打ちをしたのだ。俺がした訳では無い。冤罪だ。
しかし、ひとえにぜんこぱす、と言っていいかは怪しかった。何故ならばその相手の姿はぜんこぱすとはかけ離れた姿をしていた。ぜんこぱすの姿を思い浮かべる。薄ら空色の入った白髪のショートカットヘアにふわふわの毛のようなふわっとした髪。愛くるしいクマの耳。きゅるんとしている水晶のような色合いの瞳。少年を思わせる背丈と顔立ち。かっこいい、よりも可愛いと思わせる見た目。そして溢れ出る小動物感。そしてクマ。クマだ。可愛い。勇者パーティにももっとクマっぽい子がチームメンバーにいた。癒し要員として。それを思い出す。可愛い。──────はずじゃなかったか?
ちらりと今戦っているぜんこぱすの姿を見る。劇場の色に溢れた深紅の髪。腰まで伸びた髪はサラサラでとてもフワッとはしていない。どちらかと言うとめめよりの髪質だ。瞳は全てを見透かさんとするほど美しい黄金色で。しかし、俺とは似ても似つかぬ色で。顔立ちは気の強い女性、と言った様子。しかし、どこか和らげがある。直感がそいつは嘘を嫌っていそう、そう告げる。背丈は女性だとしても長身であり、俺より若干高い程度だった。そして、何よりの特徴が額に2本の角を連なるように生やしている事だった。やけに主張が激しいそれは見せつけるがごとく、朱色をしていた。
「…ほんとにぜんさんであってます?」
思わず尋ねてしまうレベルにはその姿はぜんさんからかけ離れていた。その気の強そうな女性は「んぁ?」と奇妙な声の出し方をした後、笑いながら言う。
「あたしはあたしだァぜ?食ったもんを完全に再現できるんだよあたしは。まっ、たーだー?今は肉体の性格によってるって感じよォ?」
やや片言まじり、そして少し間延びした話し方。どこぞの植物を扱う妖精の怒った姿が思い出しかけたが辞める。存在を自ら消し去ったやつのことなんて覚えていられない。
それに、今は目の前に集中した方がいい。自身をあたしと呼ぶやつは近接戦を望むようで、おのが肉体による打撃によって俺に一撃をくらわせようとしている。それを俺は軽く剣でいなす。鬼は真正面から戦うのが好きで、小細工をしない。そのことは知っていた。が、あまりにも愚直ではないか。明らかに一撃一撃に確実に仕留める、とばかりに重い一撃が何度も剣にぶつかり、火花を散らす。どういう原理で火花が散っているんだ。そう思いながらも俺は剣で受け流す。
しかし、このままいくならば勝つのは俺だ。何故ならばこんなに一撃に重きをおくのだからその一撃一撃で体力を消耗しているはずだ。一方、俺は剣で軽くいなしているだけだ。最適な受け流したかを理解してしまったら、簡単に受け流すことが出来る。簡単な仕事だ。受け流し続ければいい。相手がそのことに気づいたとしてもその時点でもう遅い。その時には大幅な体力が消耗されていることだろう。
──────俺はまだ一方的な攻撃を受け流していた。おかしい。体感30分を超えた。しかし、未だに攻撃を止めるどころか、息が上がってすらない。鬼族の体力が多いとはいえ、そこまで体力があるものか。いえならばとっくにぶっ倒れているのでは?と思うほどだ。
そこで気づく。
俺は一旦距離をとることにした。
「なるほど。能力まで引き継いでるのか。」
言われてみればその通りだ。肉体を変えた程度で性格なんて真似できない。完全に模倣できたとしてもわざわざそこまでに時間を割いてまで手に入れるものでは無い。なら、なぜ性格すら模倣できたのか。その答えは簡単。
「人喰いどころじゃないな、それ。」
魂ごと食らっているのだ。こいつは。とんでもねぇ、こいつは。可愛い、なんて印象は全て取り上げる。こいつは、正常な感情がかけている。主に道徳心が。サイコパス。まともだと思っていた。いや、いえの思考による先入観がそうさせたのだ。俺は思ってもみない言葉が飛び出る。
「食べられた人が可哀想と思わないんですか!!!??」
思わず俺は目を大きく見開く。それは相手を睨みつけるためではない。自身の口から信じられない言葉が出てきたからだ。食べられた側が悪いのになぜ、こう言ったのか。まるで食べられた側が被害者と言わんばかりのことだった。
「?食べたら強くなるんだァぜぇ?食べるに決まってんだろ。んなもん。弱肉強食だぞォ?この世界はァよォ。」
こいつの言っていることは最もだ。弱ければ殺される。死んだあとの権利すら敗者にはないと言うのに。おかしなことを言ったなぁ、なんて思いながら俺は剣を構え直す。
「その鬼の能力。わかった。【エネルギー消費を失くす】能力だろう?」
俺がそういえば、相手は愉快そうな笑みを浮かべる。無言の肯定だった。
ここで切ります!…全然投稿してなくてすみません。一昨日は弟の卒業記念の外食。昨日は…信じられないと思うんですけど、夕方の4時頃から深夜の2時まで寝てたんですよね…。なんか誰も起こしてくれなくて…。起きたら深夜の2時っていうホラーを味わいました…。あ、今日はちゃんと起きてます。本当にすみません…。
あ、10万ハート記念イラストはできてます!!
今回はLatteさんですね〜!
今回は癒し系にしました!服の透明感を出すのがクソムズイ…。…このイラストセンシティブとかになりませんよね???健全ですよね??少し透けてるだけですがなぁ!!…判定降りたら消します。この物語一応クリーンにやってるんで。
それでは!おつはる!
コメント
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起きたら2時はやばい