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薄暗い路地。
湿った空気と、錆びた鉄の匂い。
足音が、ゆっくりと響く。
「今回の任務は簡単だ」
低い声が落ちる。
「裏切り者の処理。それだけ」
視線の先。
数人の男たちが、こちらに気づく。
「……チッ、来やがった」
舌打ち。
武器を構える音。
「で?」
軽い声。
灰谷蘭 が、隣で笑う。
「暁音ちゃん、やれるの?」
「……任務なら」
それだけだった。
次の瞬間。
一人、崩れた。
「は?」
誰かが声を漏らす。
いつ動いたのか、見えなかった。
気づいた時には、
暁音の手が、男の首元に触れていた。
遅れて、血が噴き出す。
「っ、!」
動揺が広がる。
だが、暁音は止まらない。
一歩。
また一人。
躊躇がない。
迷いがない。
ただ、“処理”しているだけ。
銃声。
パン、という乾いた音。
弾は、外れた。
暁音は、避けてもいない。
ただ、そこにいた。
「……遅い」
その一言の直後。
発砲した男が、崩れ落ちた。
沈黙。
残ったのは、
血と、倒れた体だけ。
「……終わり?」
静かな声。
まるで、何もなかったかのように。
「……っは、」
小さく笑う声。
「やば」
灰谷蘭 が、楽しそうに目を細める。
「ねぇそれ、どうやってんの?」
暁音は、視線を向けない。
「……別に」
興味がない。
そんな声音。
足元に転がる死体。
滴る血。
その中で──
暁音だけが、何も変わらない。
「……なぁ」
低い声。
「お前、ほんとに人間か?」
答えはない。
ただ、
「……次」
それだけだった。
その瞬間。
誰もが理解する。
“評価を間違えた”
この女は──
“使える”どころじゃない。