この作品はいかがでしたか?
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翌日、その日のパンクハザードはどこか騒がしかった。
もしかして……と、俺は子供たちのいるビスケットルームからくるりと方向を変えて、ローの元へ急いだ。通路の曲がり角、外へ向かう廊下でローを見つける。
「ロー!」
「ジェディ、丁度いい。ついて来い」
「やっぱり、誰か来たんだな」
「海軍が来たらしい」
「海軍……誰が来たんだ?」
「海軍G-5支部のスモーカー中将だ」
その名前に、俺の体がビリリ、と痺れた気がした。
その気持ちを落ち着け、外の方へと向かう。外の出入り口に近づくと、ブー、ブー、とブザーの音が聞こえた。その次にドアを蹴ったり殴ったりする音が。
「さすがだな、G-5支部……」
「G-5支部はああいう奴らばっかりなのか」
「そうだな。チンピラみたいなやつがゴロゴロいるらしいぞ」
そうこう言いながら、俺は鍵を開けて重たい鉄の扉を開ける。
そのままローが外に出るのを見て、俺はローの斜め後ろに待機する。ここだと外からは見えないだろう。
「俺の別荘に何の用だ? 白猟屋」「そんなバカな!」「お前は!」
海兵たちがローを見て驚きの声を上げる。そりゃ驚くだろう。まさかこんなところに人が、それも王下七武海がいるとは思っていなかっただろうからな。
「元懸賞金4億4000万ベリーのルーキー。そして今は鷹の目のミホーク、海賊女帝ボア・ハンコック、ドンキホーテ・ドフラミンゴらと肩を並べる世界政府公認の海賊、王下七武海」
「トラファルガー・ロー」
スモーカーさんにたしぎちゃんだ。うわぁ、久しぶりだ……。会って話したいが今の俺はどう考えてもローの仲間だしな。自重しよう。
俺が狐面の下でしょんぼりしていると、海兵たちが情けない悲鳴を上げながら退いているのが見えた。
「帰ろうぜスモーカーさん!」
「コイツとは関わりたくねえ! あんたも知ってるだろう!? こいつは七武海になるために、海賊の心臓100個本部に届けた狂気の男だ! 気味が悪ィ……」
「何故お前がここにいる? ここは海賊も政府関係者もすべて立ち入り禁止の島だ、ロー」
「フッ……じゃあ、お前らもだな」
ローがそう言うと、数秒間重い沈黙に辺りが包まれた。それから凛とした女性の声、たしぎちゃんの声が聞こえた。
「トラファルガー。七武海のあなただとしても、ここは引いてもらいます。そこを退いてください! この島に、他に何者かがいることは分かっています!」
その言葉の次に聞こえたのは、黒電伝虫に録音しといたのであろうルフィの音声だった。馬鹿正直に話しすぎだろあいつ。
「島の名前、寒いという気候……声の主は、この島から信号を送ったことで間違いないのでは?」
「麦わらのルフィは知ってるな? 2年前、シャボンディで起きた天竜人、ロズワード家の一件でお前とキッド、麦わらは共闘してる。さらには頂上戦争では、赤犬に追われる麦わらをお前らは逃がした」
「――要件はなんだ? 緊急信号の捏造はお前ら海軍の十八番だろう」
「残念ながらこの通信はウチで作った罠じゃない」
「どうだかな。俺も知らねえ話は終わりだ」
「つまらん問答はさせるな。研究所の中を見せろ」
「今は俺の別荘だ、断る。お前らが捨てた島に海賊の俺がいて何が悪い? ここにいるのは俺以外にもうひとりしかいねえ」
「もうひとり…?」
ローの視線が俺の方に向いたことを確認してから、俺は外の方へ足を運ぶ。すると案の定、俺の姿を見た海兵たちが驚愕の声を上げた。俺はそれに反応することなく、ゆっくりと前に進んでローの隣で立ち止まる。
「緋の狐……」
「…………」
「いるのは俺とこいつだけだ。麦わらがもしここに来たら首は狩っといてやる。話が終わったら帰れ」
それだけ言ってローはスモーカーさんたちを睨みつける。
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