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「愛の形」
「優衣、こんなに空が広いのに、私たちって狭い場所で生きてるんだね。」
紗希は空を見上げながら言った。
「そうかもね。でも、ここにいるとそれも悪くないって思うよ。」
「優衣って、本当に優しいよね。」
「そんなことないよ。私だって、いろいろ考える。」
「何を?」
紗希が問いかける。
「…紗希のこと、ずっと好きだったんだ。友達以上に。」
紗希は目を閉じ、静かに頷いた。
「ありがとう。でも、私の愛は…違う形なんだ。」
「どういうこと?」
「優衣のことは大切。だけど、それが恋愛じゃないってわかってるの。」
優衣は黙って聞いていた。
「私には、愛っていうのはもっと複雑で、誰か一人に向けられるものじゃないと思うんだ。」
「紗希の言いたいことは、わかる気がする。でも…私は紗希を特別だと思ってる。」
「うん、わかってる。だけど、私が望むのは、愛が特定の形に縛られないこと。」
「それでも、私は…」
紗希は微笑んで優衣を見つめた。
「だからこそ、私たちは違う形の愛を育てていくべきなんだよ。」
「違う形…?」
「そう。私たちは友達であり、家族みたいであり、時には恋人みたいでもある。でも、それを一つに決めなくてもいいんだ。」
優衣はその言葉にしばらく考えた後、静かに頷いた。
「うん、たしかに…愛の形は一つじゃないんだね。」
「そう、だから私たちはこのままでいよう。」
二人は空を見上げ、風が二つの空の間を吹き抜けた。