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願いを叶える桜の木6
フィンにレインが好きだと言ったその日の夜、マッシュは眠れなかった。
「フィン君があんなこと言うから眠れない…」
少し外の空気吸ってこよう、とマッシュはベッドから立ち上がった。
最近、暖かくなってきたかと思うが、夜中はまだ冷える。
マッシュはローブをはおり、同室のフィンを起こさないように部屋を出た。
「…さぶっ」
外は思ったよりも寒く身震いをして、もう戻ろうかと思ったが、月明かりが草木を照らし、
幻想的で綺麗だったため、マッシュはもう少しここにいようと思った。
ふとマッシュは空を見上げた。
空にあるのは幾千もの星と大きな半月だった。
「レインくんみたい…」
マッシュは無意識に口にしていた。そこへ思わぬ客がやってきた。
「何がだ?」
「!」
音もなく現れたのがレイン・エイムズだった。
「…レインくん…なんでここに?もう遅い時間ですけど」
マッシュはドギマギする心を落ち着かせ、レインに聞いた。
「少し会議が長引いてな…その後にどうでもいい話をグダグダと聞かされていたんだ」
レインはため息と同時に呆れた声でそう言った。
「大変ですね。」
「まぁな…それでお前は何をやっている、
もうとっくに消灯時間はすぎているぞ。見逃してやるから部屋に戻れ」
現在の時刻は深夜の1時だった。
「少し外の空気を吸いたくて、、それにまだここにいたいです。星がきれいなんです」
と、マッシュはわがままを言った。
「……」
レインは無言でマッシュの隣に座った。
「え、なんですか?」
「俺も星を見たくなった。」
きゅーん……とマッシュの心臓が締め付けられた。
そこでフィンが言っていた言葉を思い出した。
『マッシュくんと話してる兄様の顔、すごく優しい顔なんだよ?』
(本当にそうなのかな…)
マッシュは半信半疑だったため、レインの方を見た。
会議から戻ってきた頃の顔よりは確かに穏やかだった。
そんなことよりもマッシュは今のレインのビジュアルの良さに圧倒されていた。
黄色と、黒色の髪が月の光に照らされ、すごく……
「綺麗…」
口に出していた。
「ああ、そうだな」
「え…」
「月が綺麗だな」
あ、そっちか、とマッシュは勘違いをしてしまったらしい。
「そういえばお前、なんで俺みたいと言っていたんだ?」
「え…?…あぁ、その事ですか」
一瞬なんのことを聞かれたのか分からずフリーズしてしまった。
「えっと…月がレインくんみたいで…」
「?どこがだ?」
「そ、それは…髪が…半分が黒でもう半分が黄色だから、咄嗟にレインくんだなって」
マッシュは指でさしながら説明した。
「……そうか…」
あんまり嬉しくなかったかな…とマッシュは気を落とした時だった。
「お前も月に似てるな」
マッシュは驚きレインの方を見た。
「どこがですか?」
「月の黄色と、お前の瞳の色だ」
マッシュは嬉しくなった。そして
「それじゃあ、お揃いですね」
と、微笑みながら言うのであった。
コメント
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おそろいっていいね(≧∇≦)b