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天正16年 1588年 正月
山城国 聚楽第
「北条父子が聚楽第に来ないだと!」
「はい。北条父子は関東から出ないおつもりです。」
「そうか…まぁ良い。抵抗するならどうなるか、後でしっかり教えてやろう。」
「それは、つまり…」
「なに、心配するな。ちゃんと口で教えるから、な。」
「さて、今は聚楽第行幸に集中するぞ。」
スタスタスタ…
(今の関白殿下の雰囲気からして、話し合いでは済まないだろう。従わないことを利用して近々滅ぼすおつもりだろう。)
スタスタスタ…
相模国 小田原城
「攻めてくるのでしょうか、関白殿は。」
「なに、心配するな。攻められても関東の主たる北条が、農民出身である秀吉に負けることなかろう。」
「しかし、関白殿は日の本の大半を制しております。残ってるのは我らと関東・奥羽の諸大名だけでございます。」
「それがどうした。相手の兵が多くても、こちらの兵と城が強ければ問題はない。なんたってこの堅城である小田原城があれば、秀吉も諦めるに違いない」
「ですが、関東と奥羽が残ってるとは言いましたが、我ら以外の関東・奥羽諸大名はほぼ、関白殿に傾きつつあります。関白殿はそれら諸大名を従える意味も込めて、我ら北条を狙っているのです。ですから警戒した方が良いと私は思います。」
「しかし、農民出身の奴に従ったとなれば、我が家、北条の誇りが全て崩れることは分かってるのか。そして私の父、祖父、曽祖父の3代に渡って築き上げてきた関東支配が一気に崩れるのだぞ。北条家にとって大事な2つが崩れるのだ。」
「しかし、父上は1つ大事なことを忘れてます。」
「なんだ?」
「それは家を残すことです。抵抗し続け、もし負けたら、北条の血は途絶える可能性があるのです。北条家を残すことは誇りより、関東支配よりも大切なものです。」
「確かにそれも大事なことだが、それ全てを守れる、他の方法がないか、考えることは良いだろう?」
「それならば良いと思います。」
「うむ。ならばその方針でいこう。」
(しかし、今回の件で秀吉は確実に北条を潰す気になっただろう。)
数日後
「京勢催動だと!今すぐ臨戦体制を取れ!」
「はっ!」
「やはり、北条を潰す気か!秀吉め!」
「これはまずいですな。北条家存続がかかってくるかもしれないですな。」
「これはどうしたものか。」
数ヶ月後
「徳川殿から起請文です。」
「家康殿からか?どれ、見せてみろ。」
「北条親子の事を讒言せず、北条氏の領国を一切望まない
今月中に兄弟衆を派遣する
豊臣家への出仕を拒否する場合は督姫を離別させる、か。」
「説得しにきたか。秀吉に従属しておいた方が良い、と。」
「どうするのですか?」
「よし、派遣させよう。」
「そんな簡単に!?今までのはどうしたのですか?」
「家康殿がせっかく仲介してくれたのだ。派遣するしかあるまい。もしかしたら関係が良好するかもしれん。」
「確かにそれはそうですね。」
8月
山城国 京
「関東からよくぞ京まで来てくれた。北条氏規殿、感謝申し上げるぞ。」
「いえ、滅相もない。関白殿に出向けること、とても光栄でございます。」
「そうか。ならば良かった。それでは本題に入るぞ。北条殿は従う気はあるのかね?」
「もちろんでございます。逆らうだなんてとんでもないです。豊臣家に弓を引くことはこの先、一切ございません。」
「そうか。なら安心して良いのだな。」
「はい。そうでございます。北条家はいつでも平和を願っております。」
「そうかそうか。」
約1ヶ月後
「只今帰還いたした。」
「話の方は大丈夫だったか?」
「はい。もちろんでございます。これで北条家と豊臣家間の関係は安定したと思います。」
「なら大丈夫か。じゃあ、そろそろ完全に隠居するか。」
「えっ!急すぎますよ、父上。」
「お前はしっかり成長し、豊臣家との関係は安定した。もうお前に北条家を託しても大丈夫だろう。」
「そうですか。なら父上含め北条4代の方に恥じぬよう、しっかり北条家を引っ張っていきます。」
「うむその心意気だ。しっかり頑張れよ。」
「はい。」
次回 第2話 上野国への思い
コメント
3件
うわっ、めっちゃ面白かった!!😭✨ 北条家が秀吉とどう向き合うか、史実と違う展開が気になりすぎる…!特に氏規の「家を残すことこそ大事」って台詞にグッときたよ。誇りや支配より血を繋ぐ選択、重いなあ。でも氏政が急に隠居宣言したのにはビックリしたけど(笑)!次回の上野国編、どうなるのか超楽しみすぎる🔥💕