「クラゲさん、、、?」
私の手をギュッと握るこの幼い男の子を巻き込むわけにはいかない。
今も化け物からの攻撃を受け続けているが、、、
〈パキッ〉
「(ヒビが、、、)」
海月の結界もそろそろ限界だ。
だけど、まだこの子を逃がすに十分な時間はある。
「、、、君、ここからあの建物まで走れる?」
「う、うん、、、走れる」
もってあと一分ってところか、、、。
「じゃあ、私が君に合図を送るから絶対に後ろを向かないで全力で走ってね」
「うん、、、クラゲさんは?」
「、、、大丈夫、すぐにそっちに行くから先に行ってて」
そう言うと、男の子は「うん!」と頷いた。
〈パキパキッ〉
嗚呼、、、もう時間か。
私は、深呼吸をして立ち上がる。
〈パキパキ、、、ピキンッ〉
結界が、割れた。
私は、すかさず男の子に「行って!」と言う。
どんどん遠ざかる足音に安堵すると同時に化け物の手が目の前にあった。
「(あ、、、やばい)」
今から、攻撃を仕掛けても結界を張っても間に合わない。
「殺される」と本能で自覚した。
冷や汗が流れて目を閉じることも出来ない。
「(し、ぬ、、、)」
その時、化け物の腕が消えた。
、、、いや、〝斬られた〟
「なんや、えらい大きい力感じて来てみたら、、、」
私の前に、人がいる、、、ううん、人じゃない。
「弱いもんイジメかいな」
普通の人から、こんな圧を感じるはずがない、、、ッ
「なぁ、、、ホロウ」
「だ、れ、、、」
私の声にピクリと反応をして、振り向いたその人は、、、
「おぉ、見えるんか」
〝死神〟、という言葉そのものみたいだった、、、
その人は、ホロウと呼ばれた化け物を一瞬で切り刻んだ。
「(よかっ、た、、、)」
なんだか、目の前が霞んでいく。
そういえば、あの男の子は無事にお母さんと会えたかな、、、
「(、、、本当に良かった)」
男の人が何かを私に叫びながらこちらに向かって来るのを最後に意識を手放した。
ーー
「ん、、、」
目を開くと白い天井があった。
「あら、、、目が覚めましたか」
声がして、見てみると前で三つ編みをしている綺麗な女の人がいた。
〝四〟と書かれた白い羽織を身に着けたその人は、穏やかな笑みで私の近くに来る。
「私は‹卯ノ花 烈›といいます、初めまして_」
その人は、、、卯ノ花さんは変わらずの笑みで言い放った。
「深海月 杏珠さん」
「なんで、私の名前を、、、」
私は、目を見開いて閉じることが出来なかった、、、。
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