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「拓馬くん頑張ってね!」
「う、うん…」
僕は今、すごく緊張している。しかし、少しヤケにもなっていた。ここまできたならやりきりたい…と思ったからだ。
(僕って結構変わったな…)
自分自身でも分かっている。真白と関わったことによって、結構図太くなったと思う。
「⸺。」
「え?」
「まぁた話聞いてなかったの?」
「えっと…聞いてたよ?」
まずい…また真白の話を聞いてなかった。これは確実に1週間以上ネチネチと言われ続けるパターンだ…小言を覚悟したが、真白は特に何も言わない。それどころか
「緊張して何も頭に入らないのは分かるよ。でも、楽しまなきゃ損だよ!」
優しい言葉。心は聞こえなかったけど、とても優しい言葉だった。僕は肩にのしかかっていた重いものが消えるような感覚になった。
「真白は凄いね…」
本当にそう思う。真白は凄い。真白はちょっと驚いた顔をしたけれど、すぐに笑って
「急にどうしたの〜?」
なんて気楽に言ってくるからこっちの気が抜けてしまう。僕は「何でもないよ。」と言いながらステージへと向かう。その時…
「頑張ってね!」
真白の声が後ろから聞こえる。何度も聞いたその言葉に僕は口元をほころばせた。
「うん。」
僕は優しく笑った。
「さぁ…本番だ。」