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sm視点
カーテンの隙間から漏れる光に、重い瞼を開く。
記憶にある自分の部屋と同じ天井。
寝ぼけた頭のままぼーっとしていると、夢だったんじゃ無いかと思うような記憶が蘇ってくる。確かめようと隣へ目をやると、そこには1人分のスペースが綺麗に空いているだけだった。
いつか見た朝と重なる。
ーーあの人はいつも、朝にいなくなるんだな、、、
目の端に映る被せられていた布団は、自分の所有しているものとは異なっていることは確か。
昨晩の出来事が、幻で無かった証明ではある。
目覚めてから夢を見たってしょうがない。
時刻を確認しに行こうと立ちあがろうとした、
その時
sm 「ぃ“っっぅ”……‼︎!、っ“~~~」
ビキリと腰へ走る痛み。
味わったことのない衝撃に、俺はベッドから崩れ落ちる。床に座り込みながら、勢いでぶつけた膝がズキズキと痛む。
ふと、痛みに悶える今の自分の姿が、あまりにも惨めに見える気がした。
昨日は正常に回らなかった脳が、考えない様にしていたことを次々と駆け巡らせる。
手慣れていた言動、大きなベッドに彼の余裕。
ーーあぁ、そうか。俺だけじゃなくてきっと、他の子にも、、、
ふとよぎるいつか、どこかで聞いた会話。
遊びまくってるって噂、本当だったんだな。
他人事みたいにそんなことを思えば、自分の目にじわりと熱いものが滲む。視界が歪む中、零れたら負けだと謎のプライドから必死に唇を噛み締めた。
その瞬間、勢いよく開かれる部屋の扉。
いきなりのことで弾かれた様に顔を上げれば、そこには少しだけ焦った表情をした先輩が。スウェットの下だけを履き、首にタオルをかけた状態で立っていた。
kr 「ちょ、凄い音したんだけど⁉︎」
そう言って駆け寄りながら、心配の言葉を矢継ぎ早にかけられる。
kr 「怪我してない?どっかぶつけたとか…、てか腰のせいかこれ!ごめん、一旦ベッドに座って、」
sm 「…ぇ、ぁ..、」
テキパキと怪我の有無を確認すると、軽々と持ち上げられベッドに座らせられる。一旦ね、と言って昨日一瞬だけ着用していた服を、床から拾い上げ俺に着せてくれる。その瞬間に顔を覗き込まれれば、いつの間にか頬を伝っていた涙を先輩に見られてしまう。
しまった、そう思った時にはもう遅くて、、、
kr 「ぇ“、泣くほど痛い?…湿布とかあったけな。いや、気をつけてたんだけど、ごめんな?」
sm 「ぃゃ、…ちが、くて、。その…」
目線を合わせ、優しく頭を撫でてくれる先輩。
勿論腰が痛いのもそうだが、自分が涙を堪えきれなくなった理由はそうじゃない。
一晩経っても変わらない先輩の優しさに、また鼻の奥がジンと熱くなる。昨日のことに寝起きなのが重なり、掠れた声が口から溢れた。
sm 「…昨日の先輩がすごく慣れてて、噂が本当だったんだとか、俺って何人目なんだろとか、…そんな人にこんなに縋っても、迷惑になるだけなのに…っ、」
kr 「そんなこと、」
sm 「っ、.. おれっ、先輩の中の、不特定多数の奴らと一緒になりたくない…、‼︎」
この人への好意が俺の中で、見て見ぬ振りができなくなるくらい大きくなる。
でもそうなればなるほど、苦しくて仕方がなかった。
自分がこの人にとって、いくつもあるポジションに追加された1人だと換算されたくない。
困っているのは目に見えてわかっているのに。
これ以上迷惑なんてかけたくないのに。
遣る瀬無さを勢いのままに先輩にぶつける。
わがままになる気持ちは、先輩を目の前にしても止まる気配がなくて。
自分の中の黒い気持ちで、目の前が閉ざされそうになったその時。
kr 「っ…おい、ストップストップ!!俺がいつお前のこと、他の奴らと一緒にしたって??てか噂って何?俺知らないんだけど!」
sm 「………へ?、…ぁ、遊びまくってるって…、」
kr 「えっ、それ1年にまで広まってんの?…まじかよ、……ちょっと待ってて。」
俺の口から溢れた言葉を制止したかと思えば、そう独り言を溢して部屋を出ていく。