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すぐに戻ってきた先輩の手に握られていたのは、先輩のスマホだった。
意図が分からず頭を傾げていると、先輩が俺の隣に座る。
kr 「えっと、まずね多分隠してもすぐバレるだろうから言うんだけど。大学で遊びまくってた、っていうのはほんと。」
sm 「っ…、」
先輩の言葉にズキリと胸が痛む。
込み上げる苦しさを悟られない様に、先輩から顔を背ける。
kr 「でも、俺そういう奴らから夜中に助けてって電話きても行かないよ?他人の為に夜、町中爆走なんか正気じゃないだろ。俺、スマイルが思ってるほど、優しい奴じゃないし。…スマイルだから行ったんだよ。」
sm 「…ぇ、」
kr 「…それに、俺の家に上がったことあるのスマイルだけだよ。家とか安心できる場所がいいじゃん。変なやつ入れたくないし、」
sm 「ぅ、嘘…!誰も来ないのにこんなおっきいベッド…、」
kr 「それは!俺の寝相が悪いからシングルだと落ちるんだよ、ってこんなん言わせんなよ!」
寝相悪いのバレたし、くそ!と先輩が呟く。
俺の解釈違いじゃなければ、信じられないぐらい特別扱いをしていると言っている様に聞こえる。
でもきっと、誰にでも発せられる言葉で自惚れちゃいけない。そう思い、耐える様にぎゅっと拳を握りしめる。
kr 「これ見てて。あ、俺のスマホの暗証番号0205ね。勝手に見てもいいから、覚えといて。」
sm 「ぇ?」
そう言って見せられたのは先輩のスマホ画面。
さらっと暗証番号を晒して、なんてことないように操作する。俺は困惑して言われた通り画面を見つめることしかできなかった。
開かれたのは誰の携帯にも入っているであろう、メッセージアプリだ。
スマイルも今度連絡先教えてね、なんて言いながらスワイプしていく。
kr 「えーと、こいつは多分バーで会ったやつ、」
チャット欄を開けてそんなことを言ったかと思えばいきなり、ブロック、削除を手早く押していく。
sm 「は、?ちょ…、なにして、」
そんな言葉もさらりと躱され、次々に友だち欄に表示されていた人が消されていく。
挙句には誰だ、こいつと本当に覚えて無さそうにしていた。あっという間に家族と、わずかに残された仲が良いのだろう、あだ名で登録されているような人のアカウントのみになった。
呆然とそれを見ていれば、間髪入れずに次は電話帳のアプリを開こうとする。
自惚れてはいけないと思っていても、流石にこの状況は俺を安心させる為にやっていると受け取ってしまう。連絡先を消すなんて日常生活にかなり支障をきたす事だろうと、それを慌てて止めに入る。
sm 「っ~~~、待ってください!な、何してるんですか?意味が、分からないんですけど…?」
kr 「え、会ってたやつ消してる、…んだけど、。あ、勿論こんなんだけでスマイルに信用してもらえるとは思ってないよ。これは、ケジメっていうか…、」
うーん、と唸りながら言葉を探す先輩。こちらへ向き直り、真剣な顔で目を合わせられる。
kr 「誠意はちゃんと、これから見せてくから。その、説得力は無いかもだけど…」
真面目な顔をふにゃりと崩しながら頬を掻く。
そのギャップにきゅぅっと胸を掴まれるような、慣れない感覚に顔が熱くなる。
kr 「…ねぇ、スマイル。…順番は絶対間違えてると思うんだけど、」
sm 「っ…、!」
いつの間にか閉じられたスマホ。代わりに先輩の手に握られたのは俺の手だった。
kr 「好きだよ、本気で。…俺と、付き合って欲しい。」
真っ直ぐと目を見て、そうはっきりと口にされる告白の言葉。貰えると思っていなかった言葉に、思わず手に力がこもる。
ーー先輩に返した俺の答えは。